ACE COMBAT     〜DOG OF WAR〜

□黄色の炎
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「ヘリ…?
しかも多数…」

「レーダーには映って無いが…
味方機か?」

管制官達が双眼鏡で音のする方を確認すると同時に、四機のF-15Eが管制塔のすぐ脇を掠める様に飛んで行った。

その直後、シュレジャン基地の滑走路に大穴が2つ空き、ハンガーが大爆発と共に吹き飛んだ

「てっ…敵襲!?」

「なんだ今の爆発は!!」

管制官達が大爆発したハンガーに目を釘付けにされているなか、バタバタと大きな音を轟かせてヘリの大部隊が現れる

「警報を鳴らせ!
敵襲だ!!」

管制官の一人がアラームを鳴らすと同時に、管制塔にロケット弾が直撃。
ガラスや鉄筋と共に、管制官達をロケット弾が切り刻むのに時間はかからなかった。
ほんの数秒だ

「敵襲!?
クソっ!
敵に頭を押さえられてて離陸は無理か…!」

上空のストライクイーグルを恨めしい目で見上げ、俺は滑走路の破片や砂利が降りしきる中を走っていた。
対空自走砲やSAMがストライクイーグルへの攻撃を開始する

「少佐ぁ!
今の攻撃で管制塔が!
離陸は無理です!!」

出会い頭に行きあったエドガー中尉の言葉で、俺は管制塔に目を移した。

管制塔の上部は燃え上がり、吹き飛ばされて黒煙を吹いている

「機材より人材の安全確保が優先だ!
可能な限り声をかけて、あの森に逃げ込むぞ!
何でも良いから基地に備え付けの武器をかき集めてくれ!
森で逢おう!」

「了解です少佐!
俺はハンガーを回ります!
少佐は隊舎を回って下さい!
また後ほど!」

敬礼を交わしてエドガー中尉と別れ、俺は隊舎に向けて走り出した。
その間にも、基地はストライクイーグルからの機銃掃射やAH-1Zからの攻撃を受け続けていた。

陸戦装備を持たないパイロットや整備兵。
そして通信兵達しか居ない現状では、どう戦っても勝ち目を無い

「いきなり基地を放棄かよ…!」

不甲斐なさから思わず毒気付いてしまうが、そうした所で現状に変わりは無い。

既に対空自走砲やSAMはストライクイーグルにより沈黙させられ、基地上空にUH-1Hが到達する様になっては、ここも時間の問題だ……
そればかりか、C-17輸送機からレオパルド2A5やCV90歩兵戦闘車といった装甲車輌まで展開し始めている。

言わずもがな。
輸送機の中からは装甲車輌だけでなく、完全武装の歩兵まで展開し始めている。

俺は隊舎に駆け込むと、そのまま警報機を叩き、叫びながら隊舎内を走り回った

「敵襲だぁ!
可能な限り武装を集めて森に逃げ込め!
時間が無いぞ!
急げ!!」

既にアサルトライフルによる発砲音らしい音も聞こえるなかで、フランクリンがハンドガン片手に指示を出していた

「フランクリン!」

「ハルか!
森に逃げ込めばゲリラ戦に持ち込める!
今ロウェイン達やアニー達に、アサルトライフルやらショットガンやらを集めさせてる!
早いとこずらかるぞ!」

弾薬やらで変形したリュックをかついだフランクリンが、とっさにハンドガンを発砲する。
その先からは敵兵らしきうめき声が聞こえて来た

「もうここまで来やがったのか…!
グズグズするな!
死にたくなけりゃ急ぐんだ!!」


爆発音や発砲音。
そして断末魔の叫び声が支配する基地内は、もはや安全と呼べる場所など皆無だった

「タキガワ大尉!
ハルを連れて森へ!
エドガーは何処だ!!」

「エドガーはハンガーに行った。
森に逃げ込む事は伝えてある。
無事を祈ろう…!」

「ハンガーにはヴォルフも回してある!
お前は一足先にタキガワ大尉と森に逃げ込め!」

「頼んだぞフランクリン!」

レミントンM870を構えたタキガワ大尉に連れられて、俺はフランクリンに敬礼を残して走り出す。
後ろからフランクリンの荒々しい声が聞こえる。

流石は元反政府組織の兵士だっただけある。

タキガワ大尉はショットガンを構えながら、俺の前を足早に走りながら森を目指している。
俺もUSPを構えてタキガワ大尉に続く。

どうやら…
俺はカレナに来ても陸軍しなけりゃならないらしい……
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