ACE COMBAT     〜DOG OF WAR〜

□黄色の炎
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ひとまず森に逃げ込んだ俺は、基地の方々から上がる黒煙を見て落胆すると共に、どこかで胸を撫で下ろしていた

「あいつら簡単に停戦を破棄しやがった…
ふざけたイカレ野郎だぜ全く!」

タキガワ大尉が12ゲージショットシェルを数えながら毒気付く。
その目は複雑だ

「待たせたなハル。
とりあえず連れて来られたのはコレだけだ…」

スコープ付きG-3A4を持ったフランクリンの後ろに、エドガー中尉や他の隊員達の姿を確認して、俺は改めて胸を撫で下ろした

「敵はカレナ海兵隊。
エリート中のエリートです…
基地内を逃げてる最中に5人やられました」

ロウェインが息を整えながら俺に敵の正体を教えてくれた。
カレナ海兵隊。
敵は戦場慣れした戦闘のプロ達だ。
戦闘能力は周辺諸国の特殊部隊並み。
ヘリボーンや水陸両用作戦によって迅速な侵攻作戦を行うカレナ軍の殴り込み部隊。
まずい相手だ

「毒を食らわば皿までってか…
停戦を破棄したんだ。
奴ら徹底的にやる気だな」


フランクリンがスコープを調整しながら呟くが、それっきり隊員達と生存者の間に沈黙が流れる。

この場を支配するものは、銃器を弄る音と溜め息だけだ……


様々な武器が集まった。


G3A4

G36C

レミントンM870

MP-5A5

MP-5K

USP

よくあの短時間で集まったものだ。
無線機もある。
森に潜んで防御陣地を構築して援軍を待つ。
その点に関しては俺よりもフランクリンの方が頼りになる筈だ。
少しだが希望が見えて来た

「フランクリン。
何処かに防御陣地を構築して救援が来るのを待とう。
基地の通信が途絶したとなれば部隊が派遣される筈だ。
それに、あれだけ派手にやったんだ。
攻撃は此処だけじゃないと思う。
救援隊が来るまで生き延びられれば助かるかもしれない」


俺の意見に頷く者も居れば、再び溜め息を吐いて俯く者も居た。
俺は少し前にフランクリンと陸軍に強制入隊したから慣れて居るが、俺やフランクリン以外は初体験だという人間が大多数な筈だ。
どうしても地面を這いずり回ってドンパチしたいなら、普通は陸軍に入るものだ。

だが俺達は空軍。
ドンパチはしても、地面を這いずり回るのは勘弁という連中だ。
ドンパチするなら戦闘機に乗って空でしたい。
そう思ってる連中に陸軍強制入隊は堪える

「陸軍なんて柄じゃないですが、少佐の判断に従いましょう。
俺まだ死にたくないですし…」

ハンドガンを持ったマツカサ少尉が周りを見渡すなか、スコープの調整を終えたフランクリンが地図を開く

「防御陣地を構築するなら此処と此処だ。
人数的に規模は限られて来るが、少ない人数で効率的に守るには、限られたエリアに幾つかタコツボを掘って点を線で結んで防御する。
そうすれば互いに援護出来るからな」

フランクリンが選んだ場所は、森の中心部と基地寄りの外周部。
フランクリンは続けた


「基地正面の前哨陣地は俺とヴォルフ。
それから無線機が扱える通信兵を一人欲しい。
後は等間隔でタコツボを掘って基地正面をカバーする。
タコツボには各二名ずつ配置して、それぞれトランシーバーで通信を確保。
どちらか一名がG36かMP-5を持って配置につけ。
弾薬は陣地構築後に分配する。
何か質問は?」

「残りの人員はどうするんですか?」

フランクリンの隣に居たヴォルフが地図を見ながら尋ねる

「残りは全員で中心部にデカ穴を掘って、その中で基地の通信を可能な限り傍受。
それと並行して救援隊が来るかも調べて欲しい。
緊急回線に割り込めれば楽なんだが、あいにく俺達にはそんな設備も装備もねぇ…
とにかく無線機に張り付いて俺達への情報提供と、基地に関しての情報収集に専念してくれ。
それが上手く行けば生きて帰れる。
諦めるにゃまだ早いさ…」

沈んでいた顔達に、多少なり光が差して来た気がする

「ハル。
銃撃戦の次は穴掘りだ。
俺達は仮に空軍クビになっても、このまま陸軍に入れそうだな」

「笑えねぇよバカ…
陸軍はこれっきりさ」

俺達の会話で、多少だが皆に笑みが戻った気がする。
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