ACE COMBAT     〜DOG OF WAR〜

□黄色の炎
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レオパルドが対空陣地を蹂躙するなか、ヒューイが独特の二枚ローターがバタバタと音をたてて降下。
ヒューイからは完全武装の兵士達が降り立ち、M2重機が独特の発射音と共に50口径弾をばらまく。

降り立った兵士達を迎え討つべく展開した警備部隊の兵士達が、次々とM2重機から吐き出される12.7mm弾につかまり、血煙や肉片と共に手や腕。
頭や脚を吹き飛ばされていく

「行け行け行け!
俺達海兵隊に敵は無い!
行くぞ!!」

ヒューイから降り立ったカレナ海兵隊の大尉がXM-8で牽制射を加えつつ、隊員達を率いて素早い動きで遮蔽物に向けて走り出す

「パイロット達の待避は済んだのか!?」

ブロックさえ吹き飛ばす50口径機銃に頭を押さえられた警備部隊の指揮官は、その影でうずくまる通信兵に向けて叫んだ

「シュナイダー少佐の誘導でグリーメイアの客人も待避済みです!!」

対空砲火がレオパルドとAH-6リトルバード。
そしてAH-1Zの攻撃でジワジワと減っていく。

変わりに聞こえて来るのはバタバタという独特のローター音と、120mm滑腔砲のバカみたいな発射音。
そしてバリバリというMG-3の発射音だ。




戦況は芳しく無かった。
カレナ公国軍が攻勢に出たという情報が入ってから一時間足らずで、ゲオルグ空軍基地はカレナ海兵隊の強襲によって追い詰められつつあるのだから

「B中隊はどうした!」

「B中隊は基地北端の防空ハンガー付近で交戦中!
あちらも苦戦しているそうです!!」

ブロックから少しだけ頭を出した隊員に次々と12.7mm弾が直撃し、腕や頭がグチャグチャになりながら壁に叩き付けられる


「俺がグレネードランチャーでヒューイを牽制する。
その隙に走れ。
お前達はB中隊に合流。
防空戦に出ているグリペン達が帰って来るまで時間を稼げ」

そういって指揮官の少佐はグレネードを装填し、深く一呼吸おいてからグレネードを発射した

「行け!
止まるな走れ!!」

走り出した隊員達にMG-3の7.62mm弾が殺到し、嵐の中で二人が凶弾の前に倒れたが、他の隊員達は決して止まる事なく走り続ける

「悪いなシュナイダー…」


発射し終えたグレネード弾のカートリッジを排出し、新たなカートリッジをランチャーに押し込む

「やはり俺には…
イベル人の俺にはカレナ人は信じられなかったぞ…!」

身を乗り出した少佐の目に写ったもの。

それはM2重機から発せられたマズルフラッシュと、強引に映し出された真っ青な空だった。

吹き飛ばされていく自分の腕と、その腕に握られたG-36C。

それが彼の見た最後の映像だった………





















ゲオルグ空軍基地司令部

地下シェルター



シェルターに続く通路には何重にもバリケードが作り上げられ、それぞれのバリケードにはシールド付きのM2重機とMG-3が据え付けられ、完全武装した数名の兵士達が詰めている。パンツァーファウスト3やカールグスタフの様なロケットランチャーも壁に立てかけられ、兵士達の目には闘志と怒りが宿っていた

「第二分隊はシェルターの入り口を固めてくれ」

「第三分隊は第一・第四分隊と合流。
司令部前を固めろ。
敵をシェルターに入れるな」

狭い通路は兵士達が行き交い、ブーツの音と火器を操作する音が響き渡っている。

行き交う兵士達によって各バリケードに大量の弾薬が分配され、シェルターに続く通路は最終防衛拠点としての要塞化が進んでいた

「んなとこで止まるな姉ちゃん!
邪魔だ邪魔!」

「す…すいません!」

パンツァーファウスト3用の弾頭やパーツを抱えた兵士に怒鳴られ、すっかり縮こまってしまった女性。
モニクには今の状況を受け入れきれていなかった。

無理を言ってゲオルグ経由でのシュレジェン基地配属を取り付け、ハルの副官兼文官として経由地に赴いた途端に、カレナ海兵隊と西カレナ正規軍の地上戦に巻き込まれたのだ。
受け入れようにも時間が少な過ぎた

「待たせたな中尉。
シェルターに入ったら地上戦が収まるまで出れないからな」

早足で歩いて来たシュナイダー少佐は、医薬品や飲料水の入った箱を抱えていた。
大量の物資を積んだ台車と兵士達を引き連れた彼は、オドオドするモニクに医薬品の箱を渡し、飲料水の箱を抱えてシェルター内に入って行く

「中尉も入ってくれ。
君に何かあったら君のフィアンセに申し訳が立たないからね」

シュナイダー少佐の笑みに導かれ、モニクはシェルター内へと歩を進めた。
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