ACE COMBAT     〜DOG OF WAR〜

□黄色の炎
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10:45


反攻作戦に於ける初期目標の一つ。
シュレジェン基地の制圧を達成したカレナ公国軍は、先遣部隊の交戦開始と時を同じくして主力部隊が現在の停戦ラインであるクラン川東岸を渡河。
カレナ地方への侵攻に備え、グリーメイア軍はクラン川に架かる鉄橋を破壊しなかった。
むしろカレナ空軍による空爆や、カレナ陸軍による砲撃に耐えるよう、構造を強化されていた橋さえある。
それらの鉄橋を抜け、CV9040とレオパルド2A5で編成されたカレナ陸軍の大部隊がクラン川を超え、停戦ラインを踏みにじり、グリーメイア軍に占領されたかつての自国領をつた走る。

敵の真っ只中で孤立して死兵と化した二万余名だが、彼ら首都占領部隊は未だに持ちこたえている。
グリーメイアの首都を彼らが押さえて居る限り、この戦争は終わってはいない。
終わらせないのだ。

轟音を引き連れて上空を駆け抜けていくSu-30MKとF-15Eの大編隊。

土煙と鋼鉄の足音を轟かせ、鉄の騎士達は空の騎士達と共に突き進む。
グリーメイア領内を一気に突き進み、グリーメイア軍を南北に分断して各個撃破。

最終目的はユージア大陸とベルーサ大陸を隔てる大西洋はアリアナ諸島の攻略と、アリアナ諸島の中心地であるコルカ島の軍事拠点化。

今のカレナには既に制海権・制空権は無いが、本国で温存されていた大規模な装甲師団が地を駆け抜け、かき集めた航空戦力が障害を排除しながら各地で電撃戦を展開している。

クラン川を超えた彼らもまた、グリーメイア領内に向けて猛進撃を開始していた。

彼らを止めるものなど無い。

彼らを止める事など不可能に近かった。

何故ならグリーメイア軍の最前線基地は、いずれも彼らを止める事より自分達の身を守る事の方が、他の何より優先されていたからだ。


彼らに残された時間は刻一刻と無くなっている。

ただそれだけなのだから………
























11:00

ビュセックの森


整備兵達が二人がかりで航空爆弾を運ぶなか、フランクリンは起爆装置の調整を行っていた。
穴の中に航空爆弾を起き、枯れ葉や土で隠したコードを自分のタコツボまで引き入れ、最後に草や枝で分からない様に更にコードを偽装する。
散策路の様に開けた小道。
森の入り口まで続く小道の真ん中に、航空爆弾を埋めた穴がある。

爆弾にも土と落ち葉を乗せ、違和感のない様に埋め戻し、コードと同様に偽装して周囲にとけ込ませる。

地雷にも警戒する筈だが、まさか埋まっているのが航空爆弾とは思わないだろう。

最初の攻撃で生まれた不発弾を、ここだけで無く各所に設置し、車輌や大規模な敵捜索部隊の襲撃に備える。

各タコツボから見える位置に巧妙に仕掛けられた不発弾達は、整備兵とパイロット達によって今や殺傷能力の高いリモコン式の爆弾に姿を変えていた。

不発弾の大半が航空爆弾。
地面に埋められているとはいえ、上手くやればハンヴィー程度なら簡単に破壊出来るだろう。
各タコツボの指揮官達は今、森の中心に完成し終えたばかりの指揮所で打ち合わせ中だ。

M870

G-3A4

G-36C

土の壁に立てかけられた銃器類は、彼らの腰にあるものよりも強力だが、現状では弾数の少なさから見てもイマイチ頼りなく思える

「防御陣地の構築も何とかなりそうだ。
次はやってくる敵から武器弾薬と必要物資を奪う。
ハンヴィーかケネディジープ。
どちらにしろ装甲車輌は出て来ない筈だ。
あの爆弾で吹き飛ばして一気に始末しよう。
射手は俺が片付ける。
奴らはおそらく二台か三台で来る。
俺達の場所が特定されていれば三台プラスα。
まだ特定されて居なければ二台って感じだな。
機関銃が手に入れば楽になる。
上手いこと後部座席だけ吹き飛ばして欲しい」

集まった指揮官達に不発弾の配置とタコツボの位置関係。
そして起爆装置の使い方と、タコツボ内で警戒・注意すべき点などをフランクリンが話すなか、俺は何だか嫌な胸騒ぎに襲われていた。

目の前の隊員達に不満な点は無い。
むしろ信頼している。
陸戦は初めてという者が大多数だが、この面子なら何とかなるだろう。


ではこの胸騒ぎは何だ…?


恐怖心か?

少なくない仲間を失った事への怒りか?

いや…
そんな事ではない…
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