ACE COMBAT     〜DOG OF WAR〜

□始まりの狼煙
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「イベル人如きがぁっ!!」

イベル人兵士がカレナ海兵隊の隊員に組み敷かれ、海兵隊員が銃剣を突き出して今まさに、イベル人兵士の胸元に銃剣を突き刺そうとしていた。
必死に抵抗するイベル人兵士は、その銃剣が握り締められた腕を掴み、目と声で海兵隊員を威圧する

「イベル人如きがグリーメイアやイスバニアと対等な付き合いが出来ると思うな!
お前達が生き長らえているのも、我々がグリーメイアやイスバニアを屈服させているからだ!
それを貴様達は」

小さな破裂音が木霊し、海兵隊員は全身からガクッと力が抜け、イベル人兵士の身体に覆い被さる様に崩れ落ちた

「思い上がりと油断は死を早めるだけだ…
そこが貴様達。
カレナ人の甘さだな」

完全に力が抜け切った海兵隊員の身体を退け、改めて手にしたハンドガン。
Mk23を海兵隊員に向けた

「貴様らイベル人は…
我々に管理されて初めて……」

起き上がろうとしていた海兵隊員は、撃ち出された45ACP弾によって再び大地に平伏した

「黙れ。
これから連合国に管理される国の人間が言う事か…
向こうで身の程を知るんだな」
もう一発を頭部に撃ち込んで完全に息の根を止めた後、手にしたMk23をホルスターにしまい、代わりに100連ドラムマガジンとM203グレネードランチャーを装着したM4A1を手にとり、彼は無線に向けて口を開いた

「ゲストがマーリンへの退避を済ませた。
空軍の空爆とM120による攻撃で、シュレジャンを海兵もろとも制圧する。
グリペンとライトニングの攻撃目標は予定通り。
目標までの誘導は念入りに行え」

離陸したEH-101マーリンのローターが木々を揺らし、その巨体が宙に浮かび上がった。
それに先行するのは負傷者を満載したブラックホーク。


そのすぐ真横を、グリペンCがSODやXAGMを発射しながら猛スピードで駆け抜けて行く。
シュレジャンでは既に炎と立ち上る黒煙に覆われており、基地内には警報が木霊していた。
ヘリで空輸されたM120迫撃砲による砲撃も開始され、120mm迫撃砲弾がシュレジャン基地に向けて飛んで行く

「そろそろだな…」

彼の後ろには、既に装備を整えた20名近いイベル人兵士達が突入を待っていた。
100連マガジンとM203グレネードランチャーを装着したM4A1を構え、全員が肝が据わった目で指揮官たる彼の言葉を待つ

「さぁ…
行こうか…!」

ブラックホークとチヌークがシュレジャン基地上空でホバリングし、複数の兵士達がラペリング降下していく中で、屈強なイベル人兵士達は行動を開始した。













































重傷と判断された負傷者を乗せたブラックホークの中で、ヴォルフは輸血パックで輸血されながら目的地を目指していた。
後続のマーリンにはハル達が乗り込み、爆炎と黒煙が立ち上るシュレジャンが小さくなっていく

「このまま私達は病院に向かいますから、それまで耐えて下さい。
きっと大丈夫ですよ」

何も見えず、何も分からない状況の中で、ヴォルフは優しく励ましてくれる声を頼りに、何とか意識を保ち続けていた

「俺は…
俺は一体どうなるんですか…?」

優しい手がヴォルフの頬を撫でる

「大丈夫です…」


大丈夫。
そう言い続ける彼女は、ヴォルフの胸に手を乗せ、ゆっくりと頬を撫で続けた

「貴女の手は姉さんを思い出させてくれます…
母さんも……
父さんも…兄さんも……
……もう皆居ないのに…」

「貴方の戦争は終わりました。
もう何も考えなくて良いんです。
もう何も……」

親兄弟をカレナ空軍の空爆で失ったヴォルフは、その仇を討つ為に最前線の航空部隊に志願した。
そうすれば仇を討てる。
自分から全ての家族と家を奪った、あの黒一色で染め上げられたファルクラムを討つ事が出来る。
そう思って志願し、今まで戦い続けて来た……

「……戦争は終わった…
もう…俺は飛べないんですね……」

その事実を前に、ヴォルフは悔しさに身を震わせた。
だが同時に、もう戦わなくて良いという事実は、今まで張り詰めていた神経を緩めさせてくれる

「個人的にですが、暫く私が貴方の世話をさせて頂きます」

「……有り難う御座います…」

もう戦えない…
その事実だけがヴォルフを支配していた。
悔しさに震えるヴォルフを乗せ、ブラックホークは病院に向けて空を駆けた……
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