ACE COMBAT     〜DOG OF WAR〜

□若者が見た空
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「ゲルニッツ少佐。
ベルテ中佐がお呼びです」

衛兵に呼び掛けられ、俺は一人だけ蚊帳の外に居たフランクリンに命令書を手渡し、その衛兵に促されるままにテーブルを後にした。















































「出発前に呼び出して悪かったな。
話がある」

「なんですか中佐?」

テーブルにカップを置いたベルテ中佐は、俺を座らせながら衛兵を呼び出し、新しいコーヒーを持ってくる様に言いつけた。
長い話か……

「呼び出したのは他でも無い。
モニクの事だ」

モニク……
その名前に俺は固まった。
脂汗さえ引いていくのが分かる

「はっ……
モニクが運び込まれた病院は聞きました。
容態も……」

俺の言葉に、ベルテ中佐も言葉を詰まらせる。
無理も無い。
ゲオルグ行きを許可したのは中佐の筈だ。
少なからず責任を感じているのだろう


「その事だが…
お前の誤解を解いておきたい。
俺はモニクのゲオルグ行きを許可してないし、ミッチャー大佐もモニクのシュレジャン配備は聞いていなかった。
俺達はモニクのゲオルグ行きに関して、何一つ関与していないし、全ての話が事後報告だった。
モニクの一件は全て師団長命令。
俺達は終始蚊帳の外だ……」

「師団長命令……
ですか…」

俺は何か分からない感情に支配されかけていた。
怒り、悲しみ、憤り、憎しみ……
その全てが当てはまり、また全てが当てはまり難い感情。
一体何が何だか分からない。

師団長命令……?

この期に及んで何を……

貴方達ならモニクを守ってくれると思えたから、俺はモニクを一人だけマドラステアに送り返した。
そう思えたから部下を引き連れシュレジャンに乗り込んだ。


けど肝心の貴方達は蚊帳の外…?


俺は何を信じて最前線に行ったんだ?


モニクの為…?


モニクを信じて…?


違う……


中佐達を信じていたからだ……


「すまない。
対処が遅れた……
そのせいで、俺はモニクを守ってやれなかった…!
許してくれ」

「もう済んだ事です。
師団長の命令なら逆らえない。
相手は指揮系統の頂点ですからね……」

第三航空師団は、今やグリーメイア空軍の全部隊に対して影響力を持つモンスターに成長した。
俺達の功績によるモノも大きいが、グリーメイア空軍で唯一運用可能な大規模部隊である事も、その急成長に拍車を掛けている。
その師団長からの直接命令だ。
その命令には誰も逆らえない

「逆らえない…か……」

小さな呟きを残して、ベルテ中佐はカップに口をつけ、静かにコーヒーを啜った。
俺もコーヒーを口に含み、歩き回る連合軍の兵士達を眺めた。
カレナ陸軍の兵士達とグリーメイア陸軍の兵士達が、互いに声を掛け合って大きな機材を運ぶ姿が目に止まった

「もう戦争は終わる…
でも戦いを止められない俺達は、一体何の為に命を掛けているんでしょうか……」

クリーム抜きの微糖コーヒーを喉に通した途端、そんな呟きがカウンターの様に喉から飛び出ていた。
そんな俺の呟きにも、ベルテ中佐は苦笑いで答えてくれる

「仲間の為なんだろうな…
確かに戦争は近いうちに終わるだろう。
だが戦争が終わらない限り、現実から逃げ出せない限り、これ以上戦争の中で仲間を失う訳にはいかない。
だから命を掛けて戦う。
それだけの事だ」
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