ACE COMBAT     〜DOG OF WAR〜

□若者が見た空
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14:53

シュバーベン
上空

6800ft


二機のグリペンCが同じタイミングで左右に散開し、やはり同時にアフターバーナーを点火。
それぞれの目標に食らいつこうと、一気に加速をかけて距離を詰めて行く

『シャークテイルより各機へ。
朗報だ。
ゲルンシュタット市がイベル人部隊によって制圧。
今しがた完全に解放された。
ウォラニエ市でもイベル人武装組織による蜂起が発生したとの情報だ。
南部からの迎撃は無いと判断。
目の前の敵機に集中せよ』

「ドラグーン・リーダーよりドラグーン各機へ。
ヘッドオン状態からの攻撃は厳禁よ。
後方からの攻撃のみ許可する。
彼らに脱出できる時間を与えなさい」

『ドラグーンツー了解。
ドラグーン各機。
速やかに敵を無力化せよ』

複数のグリペン達がシュバーベンの空で互いの背中を奪い合い、様々な軌跡を描いて所狭しと飛び回る中でも、ドラグーン隊の面々は秩序だった連携プレーで交戦を続けていた。
相手は、あの少年兵達が駆るグリペン達だ


『シャークテイルよりドラグーン各機へ。
ウォラニエ市で蜂起したイベル人武装組織から航空支援の要請が来た。
仲間は少しでも増やしたい。
ゲオルグに帰投して装備を変更後、その脚でウォラニエ市へ航空支援に向かえ』

ビルシュタイン大尉はHUDの中にロックしたグリペンに向けてミサイルを発射し、そのまま正反対に急速ターンをかける。
ミサイルを被弾したグリペンが背後でパラシュートを吐き出した後、コントロールを失って墜落していく中、ビルシュタイン大尉は満足げな笑みを浮かべた

「流石は私の後輩達ね。
ベイルアウトが出来れば次があるもの。
ドラグーン・リーダー了解。
ドラグーン各機へ。
これより帰投する。
各機後退しなさい」

各機から返事を聞き、ビルシュタイン大尉はレーダーに目を移した

「良い動きね…
ウォールデン」

機影の下にKAF035221の番号が振られた反応と、その周囲に展開する三機だけは、連携の取れた動きで戦闘を展開していた
『ウォールデンも向こうに組した様ですね大尉。
アイツだけでも切り崩したいものです』



ドラグーン・スリーことアンデルセン中尉の声が、ビルシュタイン大尉の鼓膜を揺らす

「教官が逃げ出す訳には行かないでしょうね…
こうなった以上、もう墜としてベイルアウトさせるか殺すしか無いわ。
そう割り切りなさい」

編隊を組み直して戦域から離脱する八機の後ろでは、未だに戦闘光が止まる事は無かった。



































15:10

ゲオルグ空軍基地


滑走路に次々と着陸して来るグリペン達と、ボロボロになった基地施設の端に着陸したベル412EPから、グリーメイア空軍のパイロット達が降りて来る

「また彼らですか…
ウチの司令も物好きですな」

「彼らは司令のオーダーじゃ無いわ。
グリーメイア空軍部隊のゲオルグ配備はハシム少将の提案。
ウチのグリペンで戦闘を継続するらしいわよ」

ヘルメットを抱えたビルシュタイン大尉達の前に、グリーメイア空軍のパイロット達が整列し、ハルが一歩前に出て握手を求めた

「また会いましたね少佐。
実機への搭乗前に、先ずは可能な限りシュミレーターでグリペンを知って頂きます。
私達が2日は持たせます。
その間にシュミレーターでグリペンに慣れて下さい」

「宜しくお願いします大尉。
時間もありません。
今日中には仕上げるつもりで行きます。
それと大尉。
今から司令との面会は可能ですか?」

ヒルドルヴこと、ゲルニッツ少佐がウチにやって来る時は、やはり何かしらの厄介事か面倒を持ち込んで来る。
忙しい男だ…
顔と声の雰囲気で事情を察した私は、アンデルセンに案内を任せる事にした。
私は厄介事に慣れてない

「アンデルセン。
少佐を司令の所に案内して。
他の者達は再出撃の支度よ。
時間は無いの。
急ぎなさい」

部下達に再出撃の指示を出し、アンデルセンに連れられて遠ざかって行くゲルニッツ少佐の背中を追う

「モニク中尉も、私達みたいな別れ方は御免だと思いますよ…」

今は亡きシュナイダーの笑みを思い浮かべ、私は愛機に向かって歩き出した。
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