規格外置き場

□バトル・オブ・オデッサ
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二輌の61式戦車5型が砲塔を旋回させ、目標に砲口を向けながら全力後退。
巻き上がる土煙もよそに、61式戦車は最大速で後退を続ける

『一つ目に張り付かれた!
誰でも良い!
早く援護してくれ!
誰か!!』

戦車兵の悲痛な叫びがオデッサにこだます時、死神と呼ぶに相応しい存在が、およそ信じがたい巨体が丘の向こうから姿を現した。
鋼鉄に覆われた18mの巨体は、オデッサの大地を揺るがしながら、後退を続ける61式戦車めがけて突進してくる。
緑色に塗り固められた装甲板が踊り、その巨大な足跡を大地に残し、一つ目の巨人は手にした巨大なマシンガン。
120mmザクマシンガンを構え、後退しながら発砲してくる61式戦車に狙いを定める。


次の瞬間だ。
凄まじい発砲音と共に、凄まじい連射速度で120mm弾が撃ち出され、マシンガンからは巨大な空薬莢が猛烈な勢いで吐き出される。
撃ち出された120mm弾の群れは、仰角をつけ直していた61式戦車の砲塔上部を直撃し、砲塔は不自然に陥没すると同時に出火。
そのまま砲塔内の即応弾が誘爆し、盛大な爆発と共に砲塔が飛び上がり、辺りに肉片と残骸をバラまきながら炎上し、吹き飛ばされた砲塔が大地に叩き付けられる

『マットが!
8号車が殺られた!』

『こちら6号車!
オースティンです!
12時方向!
一つ目四!!』

『誰から見て12時だ!
方位を言え新米が!
360度一つ目だらけなんだぞ!!』

様々な怒声が無線を飛び交い、61式戦車の群れはさまよい、次々とオデッサの大地に骸を晒していく。
あちらこちらで爆発の熱風が破片を運び、大地が爆発と共にえぐりとられ、巻き起こる炎と黒煙がオデッサの大地を、オデッサの真っ青な空を埋めていく。


緑色の死神。
巨大人型機動兵器ザクは、61式戦車や歩兵戦闘車。
そして、逃げ惑う歩兵に向けて、容赦なく120mm弾の雨を掃射し、大地と共に装甲を、肉体を、容赦なく噛み砕いていった

『第5戦車大隊全車に告ぐ!
APFSDS装填後に反転!
反撃だ!』

『第8戦車大隊!
第5だけにかっこつけさせるな!
我々も正面防衛線を維持するぞ!
第5の前進を援護!
陸戦の花形が逃げ惑う的のままで終わるなぁ!!』


勇敢とも無謀とも言える二人の大隊長は、生き残った部下達に前進を指示。
逃げ惑う他の戦車とは反対に、21輌の生き残り達は、陸戦の花形としてのプライドを胸に、正面防衛線に迫る四機のザク目掛けて猛チャージをかけた

『第五より第八!
指揮車輌が殺られた!
援護してくれ!!』

『第八全車!
焼夷榴弾装填!
目標一つ目!
全力射撃後に前進!
宇宙人供め…
陸戦の恐ろしさを教えてやる…!』

8輌の61式戦車達は残骸の影や窪地に飛び込むと、第五大隊に手一杯となりつつあるザク達めがけ、手持ちの焼夷榴弾を撃ち尽くさん勢いで、155mm連装砲による一斉射撃を開始。
ザク達の足元では、61式戦車の爆発などというレベルではない。
まさに地獄の業火と呼ぶに相応しい爆炎が燃え上がり、ザク達は何が起きたのか分からず立ち止まり、足元の61式戦車を手当たり次第に撃ちまくる。
61式戦車が120mm弾に撃ち抜かれ、次々と跳ね上がって爆散していくが、その間にも地獄の業火は次々と生まれ、その勢いを増していく


『全車APFSDS装填!
距離2!
十分に有効打な筈だ!
二機ずつ仕留める!
ミラーの小隊はマシンガンを撃ちまくってる奴を!
俺達はバズーカを投げ捨てた奴を殺る!
APFSDS発砲始め!!』

155mm連装砲が次々と火を噴き、複数のAPFSDSが砲口から飛び出すと、数秒の内に多数の155mm砲弾がザク達に襲い掛かる。

マシンガンを撃ちながら立ち止まっていたザクは、マシンガンを持った右腕を吹き飛ばされ、砲弾が飛んで来た方向に向き直った直後、多数の直撃弾に胸部や頭部ユニットを破壊され、その場に黒煙と土煙を上げて崩れ落ちる。
バズーカを投げ捨て、退避行動に移っていたザクは、背中のバックパックに多数の直撃弾を受け、その場で爆散して果てた。

この間、僅か十秒弱。
二機は砲撃点らしき場所に120mm弾を叩き込み、マシンガンで牽制射を加えながら後退を始めるも、至近距離からAPFSDSの洗礼を受け、瞬く間に穴だらけのスクラップと化していく。
いかにザクといえど、その装甲は既存の装甲材に毛が生えた程度。
至近距離から155mmAPFSDSの一斉掃射を浴びれば、それこそひとたまりもないのだ。

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