ACE COMBAT     〜DOG OF WAR〜

□凱旋
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次々と着陸して行く戦闘機達。

そこには、ハルドのスーパートムキャットの姿もあった。
シュライヒャー大尉機の横に駐機されたトムキャットから、疲れきったハルドがヘルメットを抱えて降りて来る

「やったなぁオイ!」

タラップを降りる俺を、フランクリンが軽く叩く

「疲れたよ…
けど嬉しいモノだな」

苦笑いで差し伸べた手を、フランクリンは満面の笑みで引き寄せる。
白い歯を見せて笑うフランクリンを見て、疲れきった身体に元気が湧いた気がした

「ハハハ!
今日は宴会だなハルド!」

俺はフランクリンと互いに拳をぶつけ合い、生き残れた事と作戦成功の喜びを分かち合う。
シュライヒャー大尉から
[半人前]
として認めて貰えたし、俺は初陣を生き延びる事も出来た。
しかもファルクラムを二機も撃墜。
心から喜んで良い筈だが、俺は初めて死を間近で感じたし、間違い無く死ぬのだという実感も得た。
たいした初陣だ

「なぁにシケた面してんだ?
BARで大尉達が待ってる。
ほら行くぞ?」

指で催促するフランクリンに、仕方無く着いて行く事にした。
俺もフランクリンみたいな性格なら、どんなに楽な事だろう。
フランクリンが少し羨ましくなった。
























BAR
フィフティキャリバー


BARでは、既にベルテ中尉とシュライヒャー大尉が呑んでいた。
ベルテ中尉もまた、ベルカ戦争時にシュライヒャー大尉の右腕として、ベルカの空を共に飛んだエースの一人。

兎に角、この混成中隊にはエースが多い。
そして、ベルカ人エースも。

これには、グリーメイアの御国事情が複雑に絡んでいた。


かつてのベルカ戦争。
あの当時、まだグリーメイアはユークトバニアの一部だった。


一部の部隊はユークトバニア軍としてベルカ戦争の最前線に投入され、伝統あるベルカ公国軍の前に大損害を被った。
そして終戦。
ベルカの戦後復興にあたったユークトバニアは、一時的に経済が逼迫する事になる。
苦肉の策としてユークトバニアがとった決断は、大陸西端にある飛び地の統治を放棄し、同地に自治権を与えて独立させた。

そして誕生した国家が、俺達の母国
[グリーメイア共和国]
なのである。
誕生したばかりの新興国だが、ユークトバニア軍の一翼を担っていた国だ。
それなりの軍備はあった。
しかし、それは陸軍の事であり、空軍は周辺諸国に比べて微弱過ぎた。
それを補完する為に、グリーメイア空軍は旧ベルカ人エースをベルカから多数引き抜きを始める。

しかし、傭兵という職業を毛嫌いする傾向の強いベルカ人達は、そのヘッドハンティングに当初は見向きもしなかった。
中には
極西の小国が偉そうに
などと蔑む者達も居た位だ。
しかしユークトバニア空軍などから招き入れたベルカ人エースの口利きもあり、グリーメイア空軍の状況は好転した。

敗戦により失業した旧ベルカ空軍のパイロット達は、ユークトバニア経由でグリーメイア空軍に入隊。
これらの事情により、グリーメイア空軍は多数のベルカ人エースを有する強力な空軍となった。
グリーメイア空軍は、全体の四割近くが旧ベルカ空軍関係者で構成されている。
空中管制機ノルトヴィントの管制官も旧ベルカ空軍出身者だ。

シュライヒャー大尉
ベルテ中尉
そんな旧ベルカ空軍出身者達に鍛え上げられたグリーメイア空軍のベテラン達。
戦場で右も左も分からない俺が、そんな中にいきなり放り込まれたのだ。

文句も言えない状況だが、溜め息と苦笑い位なら許して欲しい。
はぁ………。
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