ACE COMBAT     〜DOG OF WAR〜

□アルヴァ・ガル岬沖遭遇戦
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動揺と不安に高鳴る鼓動を抑えながら、操縦桿を握る手は冷や汗と油汗で濡れていた。

先頭を飛ぶシュライヒャー大尉のF-15S/MTD。

その少し後ろで、左右を固める俺とフランクリン。
アローフォーメーションを保ちながら、所属不明機の出方を見る俺達三機。

不安だけが大きくなっていく沈黙を破ったのは、フランクリンの叫び声だった


『金色の鏃と丸い楯!
カレナ軍機!!
数は…四!!』

フランクリンの叫び声に、何か稲妻の様なモノが俺の心を走り抜けた。
操縦桿を握る手にも力が入る

『ハル。
俺は援護に回る。
フランクリンを連れてやってみろ』

『しょっ…!
正気ですか大尉!?』

間髪入れずに入ったフランクリンの叫びを無視しながら、シュライヒャー大尉は更に続ける

『ハル。
フランクリン。
俺を信じろ。
お前達を墜とさせはしない。
思う存分やれ』

『まったくよぉ…
どうすんだハル?
俺はお前に着いてくぜ?』

「フランクリン…
俺は……やる‥!」

その直後、けたたましく計器が鳴り響いた。
ミサイルアラート。
またアノ嫌な音だ。
ミサイルアラートは鳴り止まない。
そして徐々に間隔を狭めていく

『散開して回避!
あんな奴らに墜とされるんじゃないぞ!!』

シュライヒャー大尉の怒声に、俺達は一斉に散開。
凄まじい速さで接近するミサイルの群れを難なくやり過ごす

『ハル!
お前は俺を援護!
俺の後ろから奴らを仕留めろ!』

フランクリンの鬼気迫る声に押され、俺はフランクリン機の後ろについた

「大丈夫なのか?」

そんな俺の言葉に、フランクリンは溜め息混じりで返事をした

『お前も俺も、実技じゃ大して変わらなかったんだぜ?
いつまでも隊長にしがみついる新米のままじゃ、俺も男として面目が立たねぇんだよ…!
行くぜ隊長さんよ!』

鋭いロールで飛行機雲を空に描いたF-16Fは、そのまま機体を急上昇させて行く。
そんなフランクリンの後を追う俺は、普段はメッタに見れないフランクリンの姿に笑みを浮かべていた。
同期の仲だからこそ分かる相棒の決意。
オルドリン中尉の想いを繋ごうと考えたのは、俺だけじゃ無かったんだ。
そう思える相棒の言動を目の当たりにした俺の心は、何故か分からないが満足気に踊っていた

「やってやろうぜフランクリン!
俺達にとってのデビュー戦は今日だ!」

俺も愛機に鞭を入れ、フランクリン機の後ろにピッタリと着きながら、フランクリンと共にカレナ軍機に迫って行く。
みるみる近付いてくるカレナ軍のF-15C四機。
その悪魔達を目の当たりにしても、もはや俺の心に恐怖や不安は湧いて来なかった

「全兵装使用許可!
AMRAAM発射準備!」

フランクリンに指示を出しながら、俺もフェニックスの発射準備を整える。
もはや震えや躊躇いは無い。
敵を墜とす。
今の心にあるのは、まさにその一心だけだ。
既に小豆大からホイール並みの大きさに見えるまで接近したカレナ軍機。
その姿を目に焼き付けながら、俺は安全装置を解除する

『了解。
AMRAAM発射準備よし。
指示を待つ』

発射準備完了を伝えるフランクリンに、俺はトリガーに指をかけながら指示を伝えた

「全部墜とす!
槍を放て!!」

フランクリンからの短い返事を聞き、俺もフェニックスを放つ。

『「フォックス・スリー!!」』

白い線をひきずりながら、カレナ軍機に向かっていく二発のミサイル。
それは、すれ違い様に敵機を直撃し、アルヴァ・ガルの空に二つの火球を生み出した

「一機撃墜!
見たかカレナのアホ野郎!」

『スプラッシュ・ワン!
スプラッシュ・ワン!
いぃやっほぅ!!』

高速で擦れ違う四機の戦闘機達。
俺達は歓喜の叫びを上げながら、高速のまま宙返りターンを行い、そのまま二機の背中につく

「あと二機…!
やってやる!!」

HUDの中で上下左右に暴れ回るF-15Cを捉え続けながら、俺は機関砲の発射トリガーに指をかける。
逃げ回る獲物の向こうでは、フランクリン機と絡み合う敵機の姿があった

『ケツについた…!
火を噴いて墜ちろカレナ野郎!』

凄まじい速さで横切って行くフランクリン機とカレナ軍機。
その手前に居るのは、ガンレティクルに収まり始めたF-15C。
俺は深呼吸で一息おいた後、機関砲の発射トリガーを力一杯引き続けた

「墜ちろぉっ!!」

猛烈な勢いで撃ち出される機関砲の群れと、機体に伝わる猛烈な振動。
その直後、ガンレティクル内の敵機は炎に包まれた。
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