ACE COMBAT     〜DOG OF WAR〜

□アーマナイト隊
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2005年
6月9日

午前9時38分


マドラステア基地



ハルはフランクリンと共に、自分達にあてがわれたハンガーにいた。
内部は真新しい部分と、くたびれて錆が浮いたた部分が混ざり合い、独特の雰囲気を醸し出していた

「こうなるんだったら、もっと手加減するべきだったな…」

苦笑いのフランクリン。
このハンガーを半壊させた張本人は、中途半端な新古ハンガーを見上げながら頭を掻いた

「仕方ないさ。
あの時は必死だったんだし、半壊で済んだだけでも有り難いもんさ」

苦笑いで頭を掻き続けるフランクリンを見ながら、俺も数日前の光景を思い出していた。
熾烈な対地攻撃を繰り返すグラオ隊の四機と、それを上空から援護するアキュラ隊の二機。
俺達は初陣を思い出しながら、ハンガー内に鎮座する機体に目を移す

「俺達も、やっと単座機に乗れる身分になったんだなぁ。
なんかバタバタしながら必死に駆け抜けて来たけどさ、いざ自分の専用機を眺めると、すげぇ嬉しいもんだよな」

まるで新しいオモチャを買って貰った様に、無邪気な笑みを浮かべるフランクリン。
そんな相棒を見ると、俺も笑みをこらえられなくなる。

やっと単座機に乗れるんだ。
教官が乗る為の複座機で実戦に参加していた俺達。
高等練習機扱いだった予備機から、やっと自分達の専用機に乗り換える事が出来るのだ。
この喜びは堪え切れない。


真新しいF-15C


愛機が放つ見事な灰色を見つめながら、俺もフランクリンと同じ顔になっていた。
それと同時に、四機編隊の指揮官となる自分が可笑しくなった。
右も左も分からなかったド新人が、数日後には四機編隊を率いる指揮官になる。
何が何でも可笑しな話だ。
だが俺とフランクリンのイーグルの後ろに控える二機のイーグルを見て、現実問題なのだと改めて実感するのも事実だった。


一体どんな奴が俺の部下になるんだろう?


俺の隊に配属される二人は、揃いも揃って新米らしい。
一人は少尉で一人は曹長。
飛行時間は二人合わせて250時間程。
俺やフランクリンと同じように、純粋培養の即成パイロットだった。


自分でも気付かないウチに、部下となるパイロットの事を調べていた。
シュライヒャー大尉やベルテ中尉からの指導もあるが、自分が率いる部下を知る事のは大事な事だ。

後ろに控える二機のイーグルを眺めながら、俺は密かに胸を踊らせていた

「ヤッパリ此処に居たな二人さん。
新しい愛機はどんな感じだ?」

突然かけられた言葉に振り返ると、そこには軍服姿のベルテ中尉が居た。
革手袋を外しながら、俺達のイーグルを見上げるベルテ中尉。
ひとしきりイーグルを見定めたベルテ中尉は、嬉しそうな笑みを浮かべながら歩いて来る

「まさかイーグル乗りになれるとは、思いがけない感動ですよ中尉。
しかも中尉のグラオ隊や、シュライヒャー大尉機と同じ灰色の専用機!
もう感無量です!」

フランクリンの言葉に、中尉は短く笑った

「俺達と大尉機が灰色なのはタマタマさ。
しかし憧れてくれたのなら俺達も大尉も嬉しい限りだな。
二人も一人前になったんだ。
灰色も俺達を結ぶ色になったって訳だな。
おめでとう御二人さん」

笑顔で差し出された中尉の手を、俺も笑顔で握り返した。
ベルテ中尉に一人前と言われた嬉しさもあるが、何より
[俺達を結ぶ色]
と言われた事で、本物の一人前として認められた気がしたからだ。
フランクリンも俺と同じ顔をしていた。
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