ACE COMBAT 〜DOG OF WAR〜
□新生ハルバート隊
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2005年
6月11日
午前8時50分
マドラステア基地
滑走路脇のハンガーで翼を休ませる戦闘機達。
タイフーン二機
F-15S/MTD一機
その戦闘機達には既に整備兵達が張り付き、翼を休ませる鉄の鳥達に整備と補給作業を行っている最中だ。
ヘルメットを脇に抱えながら、搭乗員宿舎に歩いて行くパイロット達。
手振り身振りで雑談しながら歩く彼等の姿は、ベテランパイロットと呼ぶに相応しい。
そんなベテランパイロットの彼等は、新たにシュライヒャー中隊に配属された補充要員だ。
擦れ違う基地要員達に挨拶しながら、彼らは宿舎に入って行く
「来たようです。
なかなか肝の据わった奴。
そんな感じですかね…」
窓越しに彼等を見るベルテ中尉。
椅子に座ったままの中尉は、三人の第一印象を口にした。
そんな彼とは対照的に、腕を組んだまま黙り込むシュライヒャー大尉。
そんな二人に挟まれた俺は、どこか息苦しさを感じ始めていた。
この中隊長室は居心地が悪すぎる。
妙な汗と心拍数の高まりを感じながら、俺は深い溜め息を吐いた
「お前は本当に溜め息ばかりだなハル。
いい加減に堂々としたらどうだ?」
俺の心情を知ってか知らずか、ベルテ中尉は俺の肩を叩きながら笑っていた。
そんな中尉に、シュライヒャー大尉の口が沈黙を破る
「ハルは居心地が悪いんだろう。
指揮官として此処に居るのは始めてだ。
だが、これでやっと定数で戦える。
補充要員はベテラン。
まぁ楽にしていろ」
俺にそう言いながら、大尉はコーヒーを入れ始める。
大尉と中尉はブラック派。
俺はミルクたっぷり派。
バラバラな隊員の好みを知り尽くしたシュライヒャー大尉は、慣れた手つきでインスタントコーヒーをカップに入れていく
「大尉。
たまには俺もブラックで御願いします」
「お前がブラックとは珍しいな。
健康を気にする年だったか?」
笑みを浮かべながら、カップに湯を注いでいく大尉。
たちまち部屋にはコーヒーの香りが広がり、俺達の鼻をくすぐり始めた
「それなりに刺激のあるモノを口に入れてなきゃ、変な緊張で心臓が飛び出そうなだけですよ」
苦笑いの俺に、二人は腹の底から笑っていた。