ACE COMBAT     〜DOG OF WAR〜

□新生ハルバート隊
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カップに注がれた渋くて苦いブラックコーヒーをすすり始めた。

やっぱり苦い……

俺は笑いながらカップに口をつける二人を見ながら、何故こんな渋くて苦いモノが飲めるのか不思議でしょうがなかった。
タバコと同じく慣れなのだろうか?

そんな事を考えながらブラックコーヒーをすする俺の耳に、心地よく乾いた音が飛び込んで来た

「アルベール中尉以下三名。
着任の挨拶に参りました」

補充要員三人組のリーダーは、アルベールという中尉らしい。
その中尉が求めた入室許可に、大尉はカップを起きながら返事をした

「アルベール中尉以下入ります」

入って来た三人は、ビシッと背筋を伸ばしながら敬礼して見せた

「ジャン・アルベール中尉以下三名。
本日付けで貴官の指揮下に入ります。
噂はかねがね聞いておりますシュライヒャー大尉。
宜しくお願いします」

堂々としたアルベール中尉の敬礼に、シュライヒャー大尉も返礼を送って見せる

「君達の噂も俺の耳に入っているぞ?
君達三人は俺のハルバート隊だ。
宜しくな」

手を差し出し握手を求める大尉に、アルベール中尉も笑みを浮かべながら手を握り締める。
三人のホルスターで鈍く輝くのは軍制式採用のM9。
すっかり見慣れたハンドガンだが、グリップ周りがカスタムされた特注品。
それを見ながら、俺は少しだけ羨ましく思った

「有難うございます。
しかし酷い戦況です…
俺達の担当していた北部戦線には、もうロクな戦力は残っていません。
戦線が崩壊するのも時間の問題。
そんな中で俺達が引き抜かれた…
北部戦線の放棄は、もう上では決定事項に?」

詰め寄るアルベール中尉を制しながら、シュライヒャー大尉はテーブルに置かれた封筒を手にとった

「開戦当初に受けた電撃戦の大損害で、既に北部戦線は崩壊していたも同じ。
だから上の連中はな、北部戦線放棄を正式決定したんだよ…
お前達が此処に着くより先に、その辞令が先に届いた。
俺達は、その撤退を支援せよとの事だ」

辞令を見ながら震えるアルベール中尉に、シュライヒャー大尉はカップをとりながら続けた

「この撤退作戦は残存部隊も含め、グリーメイア軍全力出動となる。
俺達が救うんだ。
撤退するグリーメイア軍将兵12万の命をな……」

シュライヒャー大尉の言葉に、アルベール中尉達だけで無く俺とベルテ中尉も襟を正す。


将兵12万…?

まだそんな兵力が残ってたのか…!


そんな俺達を見たシュライヒャー大尉は、テーブルに三つのカップを置いた

「作戦前だ。
コレでも飲んで楽にしろ」

キョトンとしたままの俺達を余所に、シュライヒャー大尉はカップにコーヒーを注ぎ始める。
そんな大尉の姿に、俺達は苦笑いにも似た笑いを浮かべるしかなかった。
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