黒銀の短編集

□飴玉より甘く




「なーなー」



「あーっ?」



「………甘いモン切れたぁ」



「あっそ…」



「あっそじゃないよ あっそじゃっ!!銀さん甘いもの切れで、
死んじゃうからっ!」



「死ぬか その位でっ!
つか人の仕事の邪魔すんな」



万事屋銀ちゃんこと坂田 銀時は
武装警察真選組の鬼の副長こと
土方 十四郎の部屋に居た



先程から、彼等は彼此三十分近く押し問答を繰り返している



背中に抱き付いて抗議をしていた
銀時と流す土方だったが、土方の
冷たい発言に畳に寝っ転がった



「うーわー、ひっでぇな オイ
それが恋人に対して言う事かよ
多串君」



「多串君言うなっ!あーもーっ、
ほらよっ」



引き出しを開け、何かを取り出すと銀時の口に放り込んだ



「…あえ?あへらま?(飴玉)」



突然、口の中に放り込まれた甘い物体に首を傾げた



何故ならこの男は甘いものは大の
苦手で、自ら甘いものに手を出す
事等有り得ない事だった



「どーふーはへのふひははひ?」
(どーゆー風の吹き回し?)



「欲しかったんだろ?甘いもの」



「……まーねー…」



「甘いもんくれてやったんだ  暫く大人しくしてろよ?万事屋」



そう言うと、再び書類と格闘し始める土方



その後ろ姿を、貰った飴玉を大事そうにゆっくり舐めながら、その背を見つめる銀時



飴玉は此処最近では見掛けなくなった大好きなイチゴミルクの大玉



前に出掛けた時(デート時)に、
たまたま見掛け呟いた代物だった
筈の飴玉が今自分の口の中にある



と、言う事は―――






 
 
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