黒銀の短編集

□飴玉より甘く




「………あー、漸く終わったぁ」



考えに耽っていると、座ったまま体を伸ばす土方の姿が目に入った



『………一種の餌付け?』



「あ?何か言ったか?」



何時もの様に眉間に皺を寄せ怪訝そうな表情で、こちらを向く土方



『………イチゴミルクの大玉』



ボソッと呟いただけなのだが土方の耳には十分届いたらしく、ピクッと一瞬肩が揺れた



『覚えててくれたんだ』



「何の話だ」



『白々しいんだ〜 イチゴミルク
の大玉は、あの店にしか無い代物
だから、言い訳しても無駄だよ
それとも、お前に一目惚れした女
からでも貰ったのか?』



わざとらしくそう言うと、物凄く
眉間に皺を寄せて怒った表情の
土方が振り返った



「嫌がらせか?テメェ………」



そう言って更に眉間に皺を寄せる目の前の男



最初は何の事だと考えを巡らせ、直ぐ答えに辿り着いた



『だったらどうする?』



わざとらしく笑って問い掛けると
案の定、ピクリと片眉を上げた



だが、事実そうだとしたらきっと俺は立ち直れない



この男に愛されないなら、生きている意味等、最早存在しない



自分の首を絞める様な究極の博打
彼がYesと言わない事を分かって
いるのに、同性同士の恋愛の為、
冗談抜きで何時かは…等と考えてしまう



「………んな顔すんじゃねぇよ」



不意に頭上から声が聞こえ、何か暖かいモノに包まれた



「テメェは俺のモンだ
誰かにくれてやる気も、
手放す気もねぇよ」



冗談じゃねぇと更にキツく抱き締めながら、俺の欲しい言葉をくれる貴方は何よりも大切な存在だと



どうやったら伝えられるかな………?



『………離さないでね?』



「ったりめーだろーが
つか、頼まれても離してやらねぇよ」



嗚呼…やはり貴方は優しいね
不器用で伝わり辛いけど、貴方の
優しさは俺を暖めてくれるが不安
の底に突き落とされるモノでもある



「馬鹿だよな お前って」



………………はっ?



感傷に浸っている最中に投げ付けられた不釣り合いな発言に思わず
ぽかんとしてしまった



「安心しろ」



そう呟くと首筋に奴の唇が落ちてきた



『んっ…///』



「やっと手に入れた手前を、飴玉の包みみたいにそう易々と離すと思うな」



そう耳元で囁きながら甘噛みする
土方の頭を押し退けようと試みる
も、如何せん体勢がよくない為、
押し退ける事は出来ず声を洩らした



『…んぅっ…へん…たっ///』



「何とでも」



舌を這わせたり、跡を付ける土方
は徐々に人の服を脱がせた



『ちょっ……ひじか…////』



「下らねぇ事考えねぇ様に、体に
教え込んでやるよ 銀時」



耳元で甘く囁かれる言葉に、俺はついに観念した



こいつが見てくれて
こいつが愛してくれて
こいつが飽きないなら



俺は何時迄もお前の傍に居るよ………



………………トシ





 
 
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