イナズマイレブン

□言いたくないと言った
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「ウチな、好きなひとが居ってん」
「そうですか」
「妬いた?」
「その様な事は。リカさんのように美しいレディを独り占めになど」
「ふーん。エドガーはウチの事どうでもええねや」
 ぷいと顔を背ければ、そうではありませんよと微笑んで見せた。
 完璧な英国紳士なるものの顔で。
「私は貴女を信頼していますから」
 アンタはそれを言い訳に自分からは決して行動を起こさないのでしょう。
「信頼て、何を」
「勿論、貴女の気持ちを」
「アンタにウチの何が分かんの」
「そうですね。まず聞かせて頂かなければ」
「言いたない。ウチは、アンタが思ぉとる様な女ちゃうよ」
「だからこそ、知りたいと思ってはいけませんか」
「んー・・・、なら暫く、黙って聞いてくれへん?」
「ええ、勿論」
 エドガーの言葉はただ反射的で甘い。小銭と引き換えの砂糖菓子の様だ。

「・・・ウチな、好きな人が居って、でもその人にウチは要らんて言われたから、」
「それは、辛かったですね」
 エドガーは眉を下げた。まだ話の途中だというのに。
「せやから、誰でもええねん」
「・・・」
 沈黙の中、エドガーを見上げると、彼は根限り優しい手付きでウチの髪を撫ぜた。
「怒った?」
「いいえ」
「・・・誰でもええねん」
 再度、呟く。
「アンタと、いっしょや」
 ぴたり、手が止まった。

「ウチは、あの人以外誰でも一緒やから、ウチを守ってくれたアンタでええかなって思ぉたし、アンタも誰でもええから、こうやって分かり易ぅ寄って来たウチでええわって、思ったんやろ? 浚われた傷心の女の子とか、アンタ好きそうや」
「お辞め下さい」
「別にウチはええねん。あの人もそういうとこあったし、アンタが、そうやって自分の嫌なとこ見透かされんの嫌や言うなら、こんなんもう言わんし」
「貴女は・・・っ!」
 声を荒げかけて口を噤み、エドガーは目を伏せた。
「・・・いえ、失礼を」
「何やの。言うてみぃや」
 間髪入れず高圧的に返せば、ウチからは見えない位置で拳を握ったのが分かった。

 アンタが紳士的で出来た人間を演じきれなくなったんならそれでもええ。
 ウチも、何も教えんと好きだ格好良いと嘯く女を演じるのはもう飽きた。


 だってウチもアンタもただの男と女。
 要望にお応えしてエドリカ。基本振り回されてれば良いです。
 何て言うか、基本的にエドガーはリカみたいなタイプって寧ろ嫌いだと思うのよ。

Title by 語り屋

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