イナズマイレブン

□本音だけど建て前
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「きゃああっ!」
「!」
 タオルを取りに宿舎へ戻ったら、食堂の方から物音と細い悲鳴が聞こえた。
「・・・何だ?」
 食堂を覗くと、半端な時間なので人はおらず、声はどうやら厨房かららしいと悟る。
「どうした。誰か居るのか?」
「えっ、あ、だ、誰!?」
「鬼道だ」
「き、どう、君・・・」
 名を告げれば、恐る恐る厨房から顔を出したのは、声で分かっていたが再びチームに合流したばかりの雷門夏未だった。

「あの、私も、お夕飯の手伝いしようと思って・・・」
 でも皆より時間がかかるだろうから、先に始めたんだけど。
 ぽつぽつと呟いた雷門に、そういえば少し前から姿が見えなかったなと思い返す。
 黙って散乱する鍋に手を伸ばすと、良いわよ片付けくらい1人で、と反論する。
「構わん。今はどうせ休憩中だ」
「でも、」
「何を作りたいんだ?」
「・・・お味噌汁の、出汁を取る所までやっておこうかしらって」
「そうか」
 鍋を拾って手順を指示して、雷門中の財政の管理何か出来る癖に何故これが出来ないのかと本気で思う。

「ごめんなさい。私、役に立たなくて」
「別に、選手の管理だとか、情報収集だとか、別の所で充分役立っているんだから気に病む事はないだろう。料理にしたって、円堂よりは何倍マシだか」
「え、円堂君?」
 名前を出した途端喰い付く雷門に苦笑して、エイリア戦後雷門中へ泊まった時の事を掻い摘んで話す。
 雷門は興味津々に聞き入って、小さく溜息を吐くと、
「そう、円堂君も料理出来ないの・・・」
 ぽつりと、そう呟いた。
「ああ、あいつのはかなり壊滅的だな」
「神様は不公平ね。鬼道君は頭が良くてサッカーも天才的で、それで料理も出来るなんて」
「・・・」
 若干不貞腐れたように言う雷門も大概、二物を与えられている方の人間だと思うが。
「別に、円堂に料理して貰いたい訳じゃないんだろう?」
「!」
「折角、円堂が料理出来ないんだから、雷門は料理得意みたいに振る舞っていれば良い」
 夏未って本当は凄かったんだなー。おにぎりもとい歪な米の塊を手に言った円堂は、大概腹に入れば何でも同じな人間なので、下手に料理が上手い方が作り甲斐が無さそうだ。
「そう・・・よね。ありがとう、鬼道君」
 味付けより栄養学から勉強するべきなのよね、と妙に意気込んだ雷門に、それはちょっと違うんじゃないかと思ったが、黙る。

「大丈夫だ」
「何がよ」
「お前達、お似合いだと思うぞ」
「・・・」
 瞬間耳まで染めた雷門に背を向けてグラウンドへ向かう。
 迎えた円堂の笑顔がほんの少しだけ憎らしかった。


 円夏←鬼。若干ドラマCDネタ。友人が物凄い好きだからか鬼夏も結構好きです。でも円鬼も好き(カオス)
 でも円夏は譲れないから鬼道さん用ヒロイン急募です。

Title by メガロポリス

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