イナズマイレブン

□過ぎ去る君を引き止める術なんて
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「皆、ただいま」

 空港への出迎えを断った吹雪君は、まっすぐ私達の待つ白恋中へ帰って来てくれた。
 酷く穏やかで強いその笑顔に、私はダークエンペラーズ戦を見ている間ずっと感じていた違和感の正体を悟って背筋が凍った。

「お帰り吹雪君!」
「ほんと、無事で良かったべ」

 皆が口々に歓迎し、労い、或いはエイリア学園や雷門の事を聞きたがって。吹雪君は楽しそうにひとつひとつ答えていく。
 彼らは大切な仲間だと。けれどここへ帰って来られて嬉しいと。





「珠香、機嫌悪いね?」
「・・・そんなこと、ないよ?」

 ああもう礼文は相変わらず余計な所で鋭い。

「真都路さん、どうかしたの?」

 吹雪君の瞳は、私にサッカーを教えてくれたあの時と違って本当に優しい。





( マフラーはどうしたの?)

 その首元に、あの白いマフラーは無い。

(『彼』はどこに居るの? )

 静かに潜んでいた、それでもひたすら鮮烈だった『もう1人』はどこへ行ったの。
 ねぇ、

( 貴方は、誰なの? )

 ここに帰って来たのは、一体誰?





「・・・ううん。何でもないよ」

 曖昧に答えて、部室の外に出た。礼文も後を追って来る。

「ねえ、どうしたの珠香。吹雪君が居なくなって、あんなに心配して、寂しがってたのに」

 確かに心配してた。寂しかった。
 彼の強さは知っていたけど、未知の相手に挑んでいく彼の事で、ずっと私は心を痛めていた。

( だって彼は、いつか黙って居なくなってしまう気がしていた )

 私達は知っていた。吹雪君の豹変が、感情の変化なんかでは有り得ないことを。
 少なくとも私は知っていた。吹雪君がそれに依存しながらも、それを切り離す日をどこかで覚悟して、だからこそ苦しんでいたことを。

 知っていて何もしなかった。出来る事何てなかったけど。
 でも少なくともディフェンダーもフォワードも出来る何て頼もしいと、エターナルブリザードは最強だと、歪みを助長するような言葉を選んで吐いたのは事実だった。

 でも私は結局知れなかった。彼は結局何だったのか。
 何の為に生まれたのか、何を為して消えたのか。
 どうしてあの日、私の前に現れたのか。

「・・・珠香?」
「吹雪君、強くなったんだね。彼は、これから1人で歩いて行くのね」

 私は今まで、半ば故意に吹雪君を苦しめ続けて来た。
 だから、私が吹雪君に傷付けられる時が来たって、私に文句を言う権利なんて無いのだ。
 でも、少なくとも、

( 好きな人を殺されておいて、にこにこ笑いかける必要何てないでしょう )


 アツヤ←珠香←礼文。
 何か、紺子は士郎を、珠香はアツヤを好きなイメージ。相変わらずのキャラ捏造すいません。
 吹雪はあんまり白恋の人達を大事にしてないというか、割とどうでも良いと思ってそうという偏見。

Title by melancholic

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