イナズマイレブン

□我らが君の御心のままに
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「久しぶりだな、・・・円堂」
「風丸!?」

 エイリア石を手にした俺に困惑した円堂は、冗談だろうと問うた。何故お前がと狼狽した。
 お前は仲間じゃないかと、そんな手段は間違いだと、強く訴えた。

 ああ、本当に、円堂は強い。平等で、正しくて、ひどく優しい。
 でも、その言葉じゃ俺の心は傷付くばかり何だよ。

 円堂には決して分からない。分からないと分かっているから、俺の行為には何一つ見返りは在り得ない。
 だからこれは唯の八つ当たりで、我慢の利かない俺の我侭で、なのにそれすら上手くいかなくて。
 前半が終わって、思うように進まず苛立つ俺の耳に、遠く円堂の声が届く。

「エイリア石の力何か必要ないってとこを、見せてやるんだ!」

 違うよ円堂。
 それは、お前達には必要ないって事だ。
 俺達が、どう足掻いたってお前達とは違うって事でしかないよ。

「俺がゴールを守る!」

 円堂は決して諦めないし、見捨てない。
 こんな、何の価値も無い俺何かの事を。

「俺は強くなりたかったんだ。お前のように」

 言えば、円堂は一瞬泣き出しそうに顔を歪めた。
 お前の事だから、自分が俺を追い詰めたとでも思ってるんだろうけど。
 それは、間違ってないけれど。

「来い! お前の全てを受け止める!」

 罪滅ぼしのつもりなのか、俺の本気のシュートを、ゴッドハンドで止めて見せた。
 ああ、そんな無茶して、手、大丈夫なのかよ。
 何度蹴っても、光は消えない。

「風丸、思い出してくれ」

 なあ、何を思ってるのか知らないけど、お前が償う事何かない。だって俺は一度だってお前の為に何か戦えなかった。
 なあ円堂、違うんだ。お前は勘違いをしているよ。
 お前は俺を救えなかったけど、お前が俺に何かしてくれる筋合いなんて、最初から1つも無かったんだよ。
 だから、俺を止めたいのなら、それは必殺技でじゃない。

「思い出してくれ・・・。俺達の、サッカーを!」

 優しい声。優しい君。
 俺に思い出して欲しいと訴える君。

 でも違う。そうじゃないんだ。
 なあ、ほら円堂、たった一言だ。

「―――っ! 思い出せぇーっ!!」

 最後の力で叫んだ円堂は、そのまま地に伏した。

「・・・勝負は、着いたな」

 ああ、そうだ。

 そうだよ円堂。お前がそう言うなら思い出すさ。
 お前が一言示してくれれば、俺の心なんて簡単に捻じ曲がる。
 うん。俺、思い出したよ。
 不満があろうが痛みがあろうが、俺がこんな事して良い訳無かったな。
 だって俺達は、決して対等ではないのだから。

 円堂が高くボールを掲げる。曇った空を背景に、しかしそれは太陽のよう。

「思い出せ! 皆ぁー!!」

 もっと早く言ってくれれば良かったのに。
 俺がお前の命令に逆らえる訳、無いんだからさ。


 ちょっと斜め視点から。やっぱりダンペラ戦は私の原点。
 風丸さんと円堂さんが本当の親友になれないのは風丸さんの方に原因があると思う。

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