降り止まない雨
□最後のチャイム
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孤独の中に、
一人立ち。
「…どしたの?」
「え?」
「ずっと、校舎なんか眺めてさ。」
「あ、うん…。今日で…、最後だなって、思って。」
「……そうね。もう、卒業しちゃったし。」
三年間、通い続けた校舎。
毎年四月になると、クラスが気になる。
友達と同じクラスか、とか、気になるあの人は一緒か、とか。
入学して、三年間。
ほとんど毎日、変わらないこの校舎を目指し、歩き出す。
この校舎で多くを学び、多くを知った。
「ねぇ、陽菜。」
「うん?」
「最後のチャイム、聞いていかない?」
「最後のチャイム?」
「うん。この学校を卒業する、最後のチャイム。もうすぐ…、鳴ると思うから。」
「…いいよ。優花の頼みだしね。」
「ありがと。」
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