□Silent dead
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ポタ、ポタ…ピチャ。





天井にも床にも大小の穴。所々に崩れ、山になったコンクリート。
荒れ果てたビル。彼と対峙した場所に似てしまった此処で、僕達は先程まで背を預けながら敵と戦っていた。今ではそれが嘘のように静かで、そんな中音を発てるのは僕達二つの荒い息遣いと血の滴り落ちる音。


「ハァ…」


かなり深い傷を負った。今すぐ動くのは少し厳しく、かろうじて壁であることを保っているところにズルズルと体を預けてしまった。


「そんなとこに寄り掛ったら、危ないよ!!」


コツ、コツ。

と早い足音を立てて僕の側に駆け寄り、膝をつく彼。僕の様子を見て眉間に皺を寄せている。


「ごめん、骸。俺が躊躇ったから…」

「君を守るのは僕の役目。気にしなくていい」

「そんなっ!悪いのは俺なのに…」


拳を握り俯いてしまった彼に、触ろうとしたが激痛が走りそれは叶わなかった。動かす度にボタボタと血が滴り落ちる体に内心舌打ち。
僕の異変に気付いた彼は僕の服を捲り上げた。


「早く帰ろう。肩、捕まって」


ビシとも、バキともとれる凄まじい音が辺りに響いた。それと同時に僕の視界は傾き、咄嗟に腕を伸ばして彼の体を突き飛ばしたはいいが、その体制のまま宙に投げ出された。


「骸っ!?」


その声と同時に肩が抜けそうな衝撃が起こり、ガクンと落下が止まった。投げ出された足が余韻で揺れている。
どうやら突き飛ばした腕は彼に掴まれてたらしい。


「骸、俺の腕も掴んで…俺だけの力じゃ…っ!」


またガクンとまた体が揺れ、上から小さな瓦礫が降ってきた。彼のいるところも崩れかかり、危うい。


「骸、早くっ!!」

「…君を守るのは僕です」


痛みを耐え、腕を力一杯振りほどく。途端に下からの風が上着、髪、頬を滑っていく。
これで彼は助かると安堵し、彼の方を見上げるが彼の顔が目の前にあった。


「骸」

「な!?」

「俺達は一緒だ、お前だけを死なせたりしない」


空に投げ出された体を引き寄せ合い、抱き合う僕達はそのまま空に落ちていった。


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