小説

□極楽
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湿った四角い部屋に水音が響く。時折聞こえる布がすれる音、熱い吐息。

「は…ぅ…曽良くんっ…もっと優しくっ…」

ピシャンと水が跳ねる。

「こうですか…?芭蕉さん…」
「あっ…ぃや…それ…くすぐったいよ…」
「すみません…じゃあ…こぅ…」
「あっ…そこイイッ!!そこ…もっとっ…!!」

熱さで頭の芯がジン…とする。

「曽良くん…そこはもぅイイから…下の方も…お願い…」
「…わかりました」
「あっ…イイッ!気持ちイイッッ!!もっと強くしてっ……」

身体が熱い、吐息が熱い、湿った空気に甘い香が漂う。

「――っあぁ…気持ち良かった…
次は…曽良くんの番ね…?」
「お願いします。芭蕉さん…」

快楽を求める二つの影が、煙の中に消えていく―――…









「あぁ〜サッパリしたっ♪やっぱり背中は他人に流してもらうのが一番イイよねっ♪」
「芭蕉さん、風呂の中ではしゃぐのやめて下さいませんか?いいオッサンが…子供じゃないんですから…」
「だって松尾、温泉大好きだも〜ん♪それにホラ、貸し切りみたいに誰もいないし〜…」
「……あまり調子に乗らないで下さいね…」
「ヒッ……弟子が怖い…」
 

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