献上品

□好きな人になりたくて
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「大門っ!お前またかあーーー!!」
今日もまたホームルームを放棄して、春吉は体育館へ急いだ。

やっと、狭山先輩に会える。


いつも通り誰もいない体育館の扉を開けていく。狭山が来る前に扉を全部開けて、準備体操までして、彼を悔しがらせるのだ。早速春吉は、手近な扉に手をかける。 すると、外から女性徒の声が聞こえてきた。
皆川とは違う、おずおずとした高い声。 そして今更ながら春吉は気づいた。これは…

―――体育館裏で、告白っ!?――-

さすがー! 高校生はやっぱり告白とかするのか!

少し前まで中学生だった春吉は、高校生の青春ドラマに興味津津で厚く冷たい扉の隙間から聞こえる会話に耳をすませた。
「私、狭山君のことが……好きです!!」

途端にクリアに聞こえた会話の内容に、息が止まる。

先輩は、なんて答えるんだろう。

答えが気になる。 でも、答えを聞くのが怖くて心臓がバクバク鳴る。


「ごめん。オイラ好きなヤツいるんだよね」



――――先輩には、好きな人がいる。

――――「特別」な人がいる。


その日、二番目に来たのは狭山ではなかった。




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