Novel V
□夕焼け
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「退院おめでとう、ナルト!」
サクラちゃんが、まだ傷の癒えてない背中を思いっきり叩いた。
ちょっと痛かったけど、サクラちゃんは俺を本気で心配してくれたから。
ありがとう って笑って感謝した。
―サスケとの激闘を経て、約一ヶ月。
凄くくやし思いでいっぱいだった。
俺、サスケを連れ戻せなかった。
…自分にスゲェ腹が立った。
「…ナルト?」
「え?」
サクラちゃんが心配そうに俺を見た。
俺は言い訳を探す。
「…眠かっただけだってばよ?」
ニッと笑って言ったけど、サクラちゃんは何も答えず、表情も変わらなかった。
「ナルトは…たまに強がる」
静かな道を歩く中、サクラちゃんがポツリと呟いた。
「私には全部分かるんだから…何年アンタと居ると思ってるの?」
『何十年ではないけど』とサクラちゃんはつけたした。
多分、サクラちゃんは俺が何かを悩むのが気にいらないんだ。
…というか、何かあったら自分に話して欲しいんだと思う。
お互いに。
―