長編

□01.青と不一致な想い
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『色ってね、不思議なんだよ。ただの色なのに人を、左右出来るの』

そう紡いだ人はとても−−−……。



−me√she−


今日も空は青くて広い。
目に痛い程の青で視界がいっぱいだ。


「あ、またいたー」
「お前さん、よう来るのう。何で毎日会うんじゃか」


屋上に毎日来る女子。
小さな小さな子なんじゃが、俺と同い年と云うから笑ってしまう。
名前は………知らない。
彼女も俺も、互いの名前を問うことをしなかったからだ。


「ねぇ、何でいつもここにいるの?」
「それはお前さんにも言えるんじゃなか?」
「風とか気持ちいいからね、屋上。で、そっちはどうしてなのー?」
「そうじゃなー。大体似たようなもんやの。屋上は気分的にも楽じゃから」


するりと抜けた風に彼女の髪が流される。
綺麗で明るいブロンドの髪。
それは何時だが地毛だと言っていたな、なんて脳裏に浮かぶ。


「あ、それシャボン玉?」
「そうじゃよ。………やりたいんか?」
「いいのっ?」
「少しだけならの」
「ありがとー!」


あんなに目をキラキラと輝かされたら貸すしかないだろう。
受け取るなり嬉々としてシャボン玉を吹き始めた彼女。
あまりにも楽しそうだから、つい口角が上がっていく。


「楽しいか?」
「うん!すっごい楽しい!」


破顔して返事を返す彼女に、とくん、と心音が速まった気がした。
………気の、せいだ。
そんなわけ、ない。
だって、あんまりにも俺の好きなタイプと彼女は違い過ぎる。



青と不一致な想い


彼女がかわいい、と初めて思った日。
蒼穹に無数のシャボン玉が沢山浮かんでは消えてった。




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