企画部屋

□こぼれた本音
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今日は色々あった。
まず、朝登校するなり人数が判らないくらいの女子からプレゼントを押し付けられた。
で、部活では冗談半分で祝われた。
意外にこれは嬉しかったけどな。
それでもやっぱり一番のお楽しみは…。


「名前せーんぱいっ!」
「わっ!びっくりしたー。急に抱き着いて来ないでよー」


俺が一番期待してんのは名前先輩!
なんてたって俺のカノジョだし、ぜってぇマジで祝ってくれるしな!


「ね、先輩。今日何の日か判る?」
「判らない訳ないでしょ?大切な赤也の誕生日だもん」


くすくすと笑いながら頭を撫でられた。
本当は嫌だけど名前先輩だけは別。
先輩に撫でられると落ち着くんだよなー。
優しい触り方してくれるのもあるんだろうけど。
気持ちいいことに変わりはない。


「赤也。今日はあたしの家においで」
「え?いいんスか?明日、普通に学校スよ?」


いつもは次の日が登校日だと泊まりは許してくれない先輩。
俺が授業中に寝るのを心配してのことらしい。
…いつも寝てるなんて言ったら怒られっから言えねぇけど…。


「今日は特別。赤也の誕生日くらいずっと一緒にいたいし。まぁ、あたしの我が儘も入ってるんだけどね」
「我が儘、スか?」
「うん。あたしの方が年上だからいつも甘える訳にはいかないでしょ?だから今日だけ」


赤也を祝う、っていうことに託けて甘えたいの。
だなんて、名前先輩が笑いながら言うもんだから。
学校の近くだってのに抱き締めちまった。


「赤也…?」
「名前先輩が年上だからってなんなんスか?歳云々の前に俺の彼女だろ。…頼むから、もっと甘えろよ」
「……うん。ありがと」


俺より少し小さめな名前先輩を優しく抱き締めてると、何だか幸せな気持ちになった。
だって、これでまた距離が縮まった気がすんだよ。
今まで我慢させた分、甘えて欲しいな…。


「あ、赤也」
「何スか?」
「えっと…後ろ…」


え…?
後ろ…?


「フフッ、ここが何処か判ってるのかな?」
「ゆ、幸村部長…」
「まぁ、今日くらいはいいけどね。じゃあ、気をつけて帰りなよ?」


俺たちの横をすたすたタと歩いて行った幸村部長。
あの人、どっから見てたんだよ…。


「…名前先輩…?」
「……とりあえず行こっか…」


余程恥ずかしかったのか、俺の顔も見ずに名前先輩は歩き出した。
…やっぱ可愛いなぁ、この人っ…。


「早くしないと置いてっちゃうよ!」
「今行きます!」


残り少ないけどお楽しみこれからだ。
再び飛びつくと苦笑しながらも優しく受け止めてくれた名前先輩に、また笑みがこぼれた。




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