立海

□宣戦布告は画面越し
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有り得ん。
一体なんのイジメじゃ。


「……マジかっこいい」
「…どこが?」
「え、全部に決まってるでしょ」


さらりと言うんじゃなか。
誰もそんな答えなんか欲しいなんて思っとらん。
ってか誰じゃ、そいつ。


「のう名前」
「んー?」
「それ見とらんで俺のこと見んしゃい」
「だって、雅治が見ていいって言ったんじゃん。これ」


……確かにそうじゃけど。
まさか、ここまで放置されるなんて思わんだろ、普通。
仮にも名前の彼氏っちゅう地球上でこの上ない幸せなポジションのこの俺が。
どうして俳優に負けるんじゃろうか。
でも、テレビ画面に面白いほど見入っとるのは可愛い…。
じゃない、俺のこと見てくれんのはやっぱり嫌じゃ。


「名前、構って」
「やーだー。あたし今これ見てるしー」
「……なあ俺とこの俳優さん、どっちが隣りにいて欲しい?」


俺の質問に名前の表情が固まった。
どっちが好きかなんて有りがちな質問はせん。
リアルな質問の方が名前もきっと…。

「一回でいいからこの人の横にいてみたい」
「……は?」
「でも、雅治には隣りにずっといて欲しいよ」


一時停止をした画面に背を向けた名前はそう言って笑った。
名前の背景には中途半端で微妙な笑顔の俳優さん。


「俺がええの?名前ちゃんは」
「雅治がいいよ。それに雅治温かいんだもん」


俺の胸板に顔を埋めて擦り寄って来た名前。
可愛すぎじゃ。
俺、今なら萌え死ねるぜよ。
名前を抱き締め返しながら、テレビ画面の俳優に向かって思い切り不敵に笑ってやった。



宣戦布告は画面越し


俺の方がよっほどイケメンじゃし。
スタイルもいいし、アッチも得意。
文句なしじゃろ?
名前?




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