立海

□指定外は一人分で−ver.N−
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「っへ…くしっ!」
「お、可愛らしいくしゃみじゃなー」
「う、うるさいなぁ!くしゃみとか褒められてもうれしくないんだけど!」


席の後ろの名前ちゃん。
俺が本気で大好きな女の子。
片想いじゃけどな。


「大体さ、教室寒いんだよね。冷房効き過ぎだよ」
「そうじゃなー。まぁ、俺はカーディガン着とるから温かいけど」
「仁王狡いー…。いいなー…」


恨めしげに俺を見る名前ちゃんが可愛いったら何の。
でも、寒がってるのはちょっと可哀相じゃな…。


「冷房、消して来ちゃるよ」
「あー!それは駄目!さっき男子たちが暑いって言ってたし!」


…何処の男子じゃ、そいつら。
頭湧いとるんか?
俺、普通に寒いんじゃけど。


「なー、名前ちゃん。俺が消すからいいじゃろ?」
「大丈夫だってー。部活のジャージでも羽織るから」


部活鞄を開いて、ジャージを取り出そうとする名前ちゃんを見て、閃いた。
俺、天才じゃろ。
何かブンちゃんみたいになったけど、それはこの際よか。
善は急げじゃ、あ、顔にやけそう。


「名前ちゃん、これ着て」
「え?だって、仁王も寒いから着てるんでしょ?」
「よか。大丈夫じゃよ」
「んー…。じゃあ、借りるね」


俺がいそいそとカーディガンを脱いで渡すと、名前ちゃんがそれを着る。
……予想以上に可愛いのう。
ぶかぶか、最高じゃ。


「袖、すごい余っちゃった」
「名前ちゃん小さいけぇ、しょうがなか」
「ちっさい言うなー!仁王のばか!」


ああああ小さいから全然可愛いだけじゃ…!
名前ちゃん、本当に好きじゃ。
俺のこと、好きになってくれんかのー。


「……でも、カーディガンありがとう。お陰で温かいよ」


照れたように笑う名前ちゃんの笑顔が可愛くて、抱き締めたくなった俺は両手に力を込めて抑えるしかなかった。
ぎゅうってしたいのー。
きっと柔らかいんじゃろうな。



指定外は一人分で−ver.N−


後で返してもらったカーディガンに名前ちゃんの香りが少し移っていて。
着るだけで顔が緩みそうだった。
……また、カーディガン貸そう。
だって名前ちゃん、いい香りすぎるんじゃ。
仕方ないじゃろ、うん。




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