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□第二話《月長石(白)〜計画〜》
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乱菊は、朝から珍しく走り回っていた。
常ならば、午前中はサボらずに執務室で上司と書類を捌いているのだが。
「…まったく、どこに行っちゃったのよ?」
辺りを見回してみるが、探し人の霊圧は感じられない。
ぶつぶつと呟きながら、乱菊は瞬歩でそこを離れた。
逃げる暇がないほど多忙だった昨日までが嘘のように、今日は仕事が少なかった。
追加の書類も半分以下に減っており、内容も急ぐものではない。
半刻程度で必要な分の仕事は終えてしまった。
上司自らが書類を持って出ていったのを見送り、乱菊は残りの書類を捌きつつ虚討伐へ向かう部下への指示といった仕事をこなしていた。
ところが、仕事に関して時間を無駄にすることを嫌う上司が、2時間を回っても帰って来ない。
書類を回すだけならば、彼は30分ほどで戻って来るはず。
急な仕事が入ったり誰かにお茶を誘われたりして帰りが遅くなるときも、真面目な彼は律儀に連絡を寄越すのだが、今回はそれもない。
仕方なく、乱菊は上司を探しに行くことにした。
軽く考えていた捜索だが、もう昼休みになりそうな時間だというのに、未だ発見に至らない。
彼が本気で逃げたなら、簡単にら見つけられないということは分かっている。
隊長と副隊長の力の差は、それほどに大きい。
「吉良の苦労が分かる気がするわー」
いつも狐面の上司を探し出しては怒鳴り散らす後輩を思い出し、乱菊は溜息をつく。
いつも同じことを、上司である日番谷が考えているとは露とも思っていない。
「もう…隊長がいないと、いざというときに困るじゃない…」
仕方なく、乱菊は一度隊舎に戻ることにした。
もしかしたら昼食を取るために帰っているかもしれない。そんな僅かな可能性を信じて。
けれど、執務室に日番谷が戻った形跡はなく。
久し振りの一人の食事は、ひどく味気ないものだった。
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