long story
□エピローグ〜denouement〜
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銀時が目を覚ましたのは、それから二日後のことだった。
見慣れたよろず屋の自室の天井。寝慣れた薄い布団に潰れかけた枕。
事情を飲み込めずに瞬きをしながら考える。そして、思い出す。
静かにゆっくりと襖が開く。
「あ」
銀時が起きているのを見て、襖を開けた本人は声を出した。
それから、ほっとしたような安堵の笑みを浮かべる。
「おはようございます。目、覚めてよかったです」
刺激を与えないようにという配慮からか、普通よりも小さめの声で話しかける。
「新八ぃ…も、いいのか?」
寝起き独特の掠れた声。
新八は襖を閉めて、枕元に座った。
「はい、僕はもうおかげさまで。銀さんはもう二日くらい起きなかったんですよ?お医者様が言ってましたけど、銀さんはしばらく絶対安静だそうですよ」
何気なくカーテンのかかっていない窓の外を見れば、星が淡い光を放っている。
「そうか…今、何時だ?」
「もうすぐ十一時です。神楽ちゃんは、さっき寝ました。僕も帰るところです」
そこまで説明して、新八は表情を暗くした。目線を落とし、膝の上で拳を作る。
「銀さん、すみませんでした」
「……覚えてんのか…」
「はい、全部。ご迷惑、おかけしました。本当にすみません」
畳に両手を着いて、深々と頭を下げる。
その様子に、銀時は焦った。
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