連載番外編

□【horseplay】
1ページ/3ページ


「一体どうなってんだよオイ」






【江戸に突如乱入!?謎の宇宙生物"BAKEMONO"現る!!】





そう書かれた新聞記事に目線を落とした土方は腕を組み顔をしかめた。
写真は載っていないが文章を見ればこの記事が何を指しているのかすぐに予想がついた。いや、確信だ。





【突如として江戸の街を練り歩く新種の天人"BAKEMONO(仮)"。市民から「何アレ」、「濃ゆい」、「顔面が暑苦しい」などの苦情続出。他にも「笑われた」、「店のものを盗ろうとした」など直接的な被害に遭われた市民も。これについて警察庁長官は「今調査中」とのこと。一刻も早く江戸の街を安心して歩けるよう警察には尽力していただきたい】










「…これ、あいつしかいねーだろ…」



―――――――――――



――――――――




「ったく何やってんだあの小娘は」




周りに視線を泳がしながら土方はぼやく。







土方があの記事を知ったのはある時、松平に呼び出された時だった。
単独で呼び出されたため何事かと思えば「怪物を探せ」との命が下った。


新聞記事に目を通す土方。写真など見なくてもわかる。







突如、江戸に現れた新種の生き物。…いや多分、人間なんだろうけども。なんか色々と新種だった。



しかしほんとに不思議だ。なんで突然…。前から居たのだというのなら、もっと早くから騒ぎになったはずだ。俺がこいつを初めて見たのはついこの間。そして市民が騒ぎ出し新聞に出るまでになったのも最近。


…不思議だ。まるで突然どっかから湧いて出たみたいな…。











「…お」



考え事をしふと顔を上げた時、騒ぎの中心人物がそこに居た。





今日も奇天烈な外見だ。
街を探索でもしているのだろうか。きょろきょろと辺りを見回している感じだ。
俺は煙草をすり潰し女のもとへと歩いて行った。








「おい、そこの」




前を歩く女を呼び止める。
だが女は気付かない。




名前…。
名前…なんだっけか?





……やべぇ。新聞の見出し"BAKEMONO"しか思いつかねェ。
つーかなんでわざわざ英語なんだよ。なんでちょっとカッコよくしてんだよ。




…くそ、どうする。
前に回り込むべきか後ろから肩を叩くべきか…。


ちくしょう。たかが小娘1人に声かけるのになんでこんな汗かいてんだ俺は。




よ…よし、








「…お、おい――」

『ひぃ!?ぎゃあああ!!こいつマジ痴漢んん!!』

「誰が痴漢だ!!図々しい勘違いすんじゃねェよ!!」



仕方なく肩を掴んで引き止めたらこの様だ。
ふざけんじゃねぇよ。心外だ。一生の汚名だ。


女はこれでもかというくらい開けていた目をぱちくりさせた。
どうやら俺を覚えていたらしい。安堵したように息を落とす。







『な…なんだアンタか…。て、なんでアンタがアタシに痴漢すんの〜』

「まだ疑ってんのかよ!!おめェをターゲットにする奴がいたらぜひともお目にかかりてェよ!!」





うぜェェェ!!
超うぜェェ!!全国の満員電車に乗るサラリーマンに功労賞を贈りたい!!





『まぁ最近はね〜ストレス社会だしね〜。でもアタシはガード固いからさ〜』

「なんの話!?言っとくがお前が思ってることは全っ部見当違いだから!!」





…ああ疲れた。
なんでこいつは人の話を聞かねぇんだ。

俺は溜め息を落とし気を持ち直す。                   
次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ