短編

□初めては苦く、本物は甘い
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―春雨の戦艦




一人の少女が別の船から捉えられた




『…っ、いたっ、』

「ボサッとしてんじゃねぇ、とっとと歩け」

『離してよ…っ』



男は無理矢理、女を引きずりある部屋に連れて行った



「元老、連れて来ました」

「遅かったな。まぁいい…こっちへ」




少女は無理矢理、元老の前に差し出された




「…ふむ」




男は少女を下から上まで舐めるように見た




「この女が…奴の娘か」

「はい」

「牢に繋いでおけ」

「はっ、」

『痛た…っ、』




少女はまた引きずられるように歩かされた






―――――――――





――――――




―ガシャン、




「お前の居場所は今日からここだ」

『……』



少女は薄暗くひんやりとする牢に連れて来られた




『なんでこんなこと…っ、早く出して!!お願い!!』

「何を言っている。お前は一生ここからは出れない」

『…!』


「先程の人がひどくお前を気にいってくれたぞ。良かったな」

『…?』




男はニヤリとして言った




「これから毎晩かわいがられるんだ」

『……っ、』




男はそれだけ言うと出て行った




『……』




どうしてこんなことになってしまったのだろう




繋がれてしまった今、逃げる術もなく前途多難だった




『……』




―「これから毎晩かわいがられるんだ」




(…これから…ずっと…)




少女はぎゅっ、と拳を握りしめて涙を流した






**






―ガシャ、ガシャガシャ





『…ん、』






―ガシャガシャ、ガシャンッ、





『!!』




いつの間にか眠ってしまった少女は大きな金属音に目を覚ました





『…だ…れ?』




視界に入ったのは外れて落ちている牢の鍵



そして牢の出入り口にいる人の影




暗くてよく見えない




ゆらり、と影が動く




「お目覚めかい?お姫様」

『……』



影はゆっくりとこちらに歩みより姿を現した




そこにいたのは先程の男達ではない



見たことのない少年だった




『あなた…は…』

「神威」

『かむ…い?』

「そう。
おいで。ここから出してあげるよ」

『え……?』




神威という少年は私の前に右手を差し出しにこにこと言った
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