BOOK2

□ライダー 罷り通る!
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――声が 聞こえた。


「ッチ!コラ!寝ぼすけマスター!滞納したツケの清算!まだ終わっちゃあいないんだよ!」

それは、覚えがある/聞こえるはずのない声で。

それは 懐かしい/遠くて近い声だ。

「拾い上げてやるからその短い手をさっさと伸ばしな!チンタラしてたら置いていくよ!」


――その輝きを知っている。その声を知っている。

失われた喉に、衰えた腕に力を入れる。


「アタシの名前を呼んでみなぁッ!」


そう、彼女の名は―――








ライダー…その、格好…すごい、ね

「あん?」

サーヴァントが待つ教室に入れば、そこにいたのは聖杯戦争を共にした相棒、ライダーだった。しかしその出で立ちは自分が知るものとは少し違っていて…

「アタシだって好きでこんな格好してる訳じゃない。操舵手たる者、こんな動きにくい格好はないね」

そう言って悩ましいため息を吐くライダー。その姿は実に、その…艶かしい。

江戸時代後期―――花の都、吉原で美しく活躍を残した花魁姿。その中でも高位にある太夫の名を欲しいがままとする美しさと気高さをライダーは体現していた。

同じ女でもつい見惚れてしまうその色気に、ライダーが呆れたようにまたため息をついた。

「なにボーッとしてんだい。人がせっかく出張サービスでこぉんな辺鄙なとこまで来てやったかと思えば…出迎えの宴もなければ、労わりの言葉もなしかい?」

はっ。そうだった。改めてちゃんと言わなくては。

ありがとう、ライダー。

「…はん。ようやくまともな面構えになったじゃないか。あんな虚数空間に閉じ込められたときは寄った船乗りみたいに情けなかったのにねぇ」

ライダーの手が伸びてきた。そしてそっと撫でられていると自覚したときにまた改めてライダーの格好に戸惑ってしまう。

なんというか…色々ギリギリです、姐さん。

「知ったこっちゃないね。アタシだって戻れんならいつもの服が一番さ。さっさと元に戻す方法でもあの坊主共に教えてきてもらっておくれよ」

はい。悩ましいため息に艶やかな花魁姿で頼まれるこのシュチュエーション。こちらに迷う間もなく頷かせる魔力が発生しているとみた。

これは早々にライダーの衣装チェンジが必要だ――。

そう思いながらもどこかもったいないかも――と思う自分を否定出来ないのが本音であった。


end


姐さんネタ提供ありがとうございます!
IFキタこれ!CCCだってIFキタこれ!でいきますw

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