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□短編
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昼休みになると途端に活気づく校内で生徒達は各々行動を開始する。
授業で使用した教科書とノートを机の中に仕舞っていた柳生は名前を呼ばれ顔を向けた。
「仁王君」
「今日はこっちで食おうかと思っての」
片手に持っているビニール袋を持ち上げながら教室に入ってきた仁王は柳生の前の席から椅子を借り腰を下ろした。
机の上に袋を置き中からパンとパックのジュースを取り出したのを見て柳生も鞄から弁当を取り出す。
「今日も購買で買ってきたんですか?」
「あぁ、しばらく弁当作らんて」
大して気にした様子もなく答える仁王はパンの袋を破りすぐにかじりついた。
柳生も弁当箱を机の上に置くと蓋を開け箸を持ちおかずを摘んで口へと運ぶ。
「早起きするんが辛いから買って食べんしゃいって金渡されたんじゃ」
「たしかに、朝練があるので大変なのかもしれませんね…」
部活の都合で早く家を出なければならない自分達の弁当を用意することは、思い直せば結構な負担だったのかもしれない。
目の前の弁当を見つめ考え込んでいた柳生は少しして口を開き。
「自分で作れたらよかったんでしょうけど…」
「そんな時間ないぜよ、部活に遅れたら真田に鉄拳喰らうしのぅ」
ストローを挿しジュースを飲む仁王はすでにパンを食べ終えていて。
柳生もわずかに食べるペースを上げ仁王に遅れること数分で完食した。