短編

俺のモノ
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「……ねぇ、待ってよ。…何で逃げるの?」






不思議そうな、その声。



この状況で、いたって平然なその声。










「っ…芥川、さん…!」





必至そうな、その声。



分からないという、その声。




嗚呼。何故、この人は俺を殺そうとするのだろう。

何故、何故、何故・・・・・・





愛し合っていた、筈なのに。







「つーかまえた♪」


芥川は、日吉に抱きつく。



この行為、普段なら大して気にするようなことではない。しかし、今は別だ。

今の日吉にとってその行動は、死を宣告されるより辛いこと。




この人は、自分を殺そうとしている






そう感じずにはいられないほど、芥川の目はオカシイ。


にっこり、という効果音が似合うその笑顔に悪意はなくて。

それでも、これからやろうとしているコトはとても残酷なことで。









これから、日吉を絶望へとつき堕とすことになる。



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