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□夢
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―「あっ、あべくん…!」
真っ赤な海の中で阿部くんを見た。
阿部くんはなぜか申し訳なさそうな顔をしている。
「ごめんな。」
阿部くんがどんどん遠くなる。
「…ぁ…べくん!」
自分に起こされた。
何か、悪い夢を見ていた気がする。
冷や汗で背中がじっとりしている。
「…。」
時計を見ると針はちょうど7時を示している。
「ち、遅刻っ!」
どたばた階段を駆け下り、コーヒーを飲みながらのんびりと朝のニュースを見ている母に「おはよう!」と言い、トーストをコーヒーで流し込んだ。
「いってきます!」
家を飛び出した時刻、7時15分。
起きて15分で家を出るなんて初めてだ。
(今日どんな夢を見ていたんだっけ)
(何か悪い夢…)
考えながら学校へ向かった。