Little Love Story

□女神降臨
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いやぁ…今日は本当についている…
これだけ勝てれば…俺マダオ卒業出来るんじゃねぇ…?



ニヤけながらパチンコの台を食い入るように見つめている長谷川。
近年稀に見るドル箱の数だ。

軽快な音楽を鳴らしながら玉が次々と出てくるその台は、今だ確変が続いている。

軽く20箱はいってるだろうか。


「うはぁ…この台止まんねェよぉ
やっぱ、朝から列んだ甲斐があったな。」


ガチャガチャと煩い回りの音のせいで、今の独り言は誰にも聞こえなかっただろう。


ドル箱がいっぱいになったので頭上にあった呼び出しボタンを押して店員を呼ぶ。


「……はい、どうぞー…」


気怠そうな店員の声がし、俺の顔の脇に空箱を差し出す。随分早いな、とは思ったものの、今は熱いリーチがかかっていてそれどころではない。


「あ、どーも…」




箱を受け取ると……




「どーもじゃねぇよ!!!」



いきなり頭を殴られた。



「!!!???…銀さん!!??」



いきなり殴られて振り向くと、そこには万事屋の主、坂田銀時が立っていた。
銀さんとは、パチンコや飲み仲間だけど……




「なーんで、長谷川さんのばっかりこんなに出てるんだよー
てか、俺が投資した分、全部この台で出てるんじゃねぇ?」



不機嫌そうな顔をしながらも、「お、このリーチ熱いじゃん」と俺の肩に手を起き、画面を覗き込んでくる。


顔を並べた状態の銀さんからは…甘い甘い、綿菓子の様ないい匂いが漂って来た。


体が…ざわつく…


俺の心境は全く無視して銀さんは一箱持ち上げた。


「ねぇ、一箱貸してよ長谷川さん。
当たったら返すから。」


「えぇっ、銀さんちゃんと勝てんの?」


「うん。今なら勝てそうな気がする。」


変に意気込んだ銀さんにハァと溜息をつき。


「ま、貸すのはいいけど、勝てなかったらどうするの?
俺もピンチだからあげるのはキツいし…」


銀さんは…俺の状況なんて知らずに、にんまりと笑いながら…


「そん時は、体で返すからっ」






そういって、どこか他の台に消えて行った…。


おかしいな…胸の片隅に…いや、胸の真ん中で堂々と…銀さんに負けてほしいと言う気持ちが膨らんだ…。






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