屋上相談室。
□二話 『一ノ瀬璃璃』
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「まったく…何なんだ、あいつ…気に入らない……」
屋上をはなれた憂弥は小声でブツブツ呟きながら長い廊下を早足で歩いていた。
階段を下りようと角を曲がったとき、丁度反対側から走ってきたらしい誰かにぶつかってしまった。
「わっ?!」
「きゃぁっ?!」
お互い勢いのままにぶつかり、綺麗に尻餅をつく。
「…痛っ…ごめん、大丈夫だったか…??」
慌てて跳ね起き、相手を見ると―
「いてて…ごめんなさい、人がいるとは思わなくて…」
腰をさすりながら憂弥を見上げたのは、小柄な少女だった。
確かに今は授業中。
人がいるわけないと気を抜いていた。
(…私としたことが…考え事に気を取られてこんなのも避けられないなんて…)
憂弥は手を引いて、少女を起こしてあげながら、少し反省した。
少女は、助け起こされながら、憂弥の顔をじっと見つめていたが、
不意に憂弥を指差し声を上げた。