05/23の日記

08:18
悪女が勝っちゃう話3
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「どうしてよっ!なんで、あなたが愛されてるのっ!」


「え、あ……魅黎、さま…」


ボンゴレ邸の広い中庭


そこに2人の少女が佇んでいた

「まだ演技する気?いい加減にしたらどう?」


肩までのふわふわとした髪を持った、沢田魅黎


「なんの、こと…です、か?」


痛みのない身の丈の長い黒髪を持つ、沢田沙紀


この二人は異母姉妹である


「とぼけないでよっ!今頃、あなたは死んでる予定だったのに!」


仲はとてつもなく悪いが


「え………ごめ、なさい……!」

沙紀はぎゅっと胸の前で手を握りしめた


心の中ではあざ笑いながら


「結局、ツナ達は役立たずの駒だったしね!私が自分の手であなたを殺してあげる」


魅黎はナイフを沙紀に向かって振り下ろした


いや、振り下ろそうとした


「魅黎っ!!沙紀に何やってるんだ!!」


ナイフはその場に響いた声により動きを止めた


「ぱ、ぱ……。あのね!沙紀ちゃんが、ぱぱ達を利用してやるって」


魅黎は慌ててツナに駆け寄る


「沙紀、大丈夫?」


しかし、ツナは魅黎の横を通り過ぎ沙紀のもとへ


「へ、いき……だよ」


気丈にふるまいながらも、震える彼女をツナは抱き締める


「無理、しないでいいよ」


「お、とうさま……ほんと、は…怖かった…!」


慰めるように彼女の頭を優しくなでると、魅黎を見た


「ねぇ、魅黎。何してたの?」


「あ…私ね、パパのために!」


「白々しいよ」


魅黎の言葉を遮り、ツナは言葉をつなぐ


「全部聞いてたし。俺達は駒、だっけ?」


「ちが!ぱ「止めてくれる?」え……」



「人を駒扱いするような人間の親になったつもりはないよ」


その瞬間、二人の立場は逆転した






「クスクス、愚かな魅黎ちゃん」

そこはボンゴレの地下牢


「なんで……どうして……」


ボロボロになった魅黎が其処にいた


「私に負けたのが納得出来ないの?」


「そうよ!だって、神様も私に味方してくれたのにっ!あんたは私を殺したのに!」


「だから?」


「え…」


あまりにもあっさりと返されて魅黎は唖然とする


「確かに私は人殺し。最低だよ?でもさー、悪が負けるって誰が決めたの?」


「あ、あぁ」


「なかなか楽しかったよ?もう、会わないだろうけど」



(勝者は私。解りきっていたことだけど)

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