†鳳宍......................
□同等の対価
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「はぁーっ…今日も疲れたな…」
長太郎は自分の部屋に入るなりベッドにダイブした。
濡れた髪をわしわしと拭いて、シャンプーの香りを肺いっぱいに吸い込む。
汗でベタついた体から一変、お風呂上がりは気持ちがいい。
全国大会準々決勝、氷帝は青学に負けた。
それからというもの、『来年こそは全国制覇!』を掲げて超過酷な特訓続き。
3年生は引退し、部活も一段落するものだとばかり思っていたのに、宍戸も『夏の間だけお前らをしごいてやるぜ!』なんて言う始末。
(まぁ…宍戸さんに会えるからいいけど…)
「もう今日は寝ちゃおうかな」
重い体を持ち上げ部屋の照明を消し、再びベッドに横たわった。
全身の力が抜けていく。
気持ちがいい。
(今日はいい夢が見れそうだな…)
瞼を閉じて掛け布団を被ったその時、真っ暗の部屋に眩しい程の光が灯った。
枕元に投げ捨てていた携帯がバイブする。
ピピピピピ…
緑色のライト。
個別にイルミネーションの色を変えているから、色だけで誰からのメールなのか分かる。
緑色は…
(日吉…?でもなんでこんな時間に?)
携帯を開くとディスプレイの白い光が目に痛くて、目を細めた。
そこには"着信メール一通"の文字が。
眠たい目を擦りながら、受信フォルダを開きメールを表示した。
『今すぐ俺の家に来い』
(え?何…意味わかんない…)
何故こんな時間に呼び出されなければならないんだろう。
大体日吉から誘われるのは初めてだった。
家の前を通ったことはあるけれど、中に入ったこともない。
(ぱっぱと返事して、さっさと寝ちゃおう…)
『何で?もう今日は寝たいんだけど…明日でもいいんでしょ?』
送信完了画面を見て、また枕元に投げ捨てた。
数分目を瞑っていて、ウトウトしてきた頃に再び緑色のイルミネーション。
(もーっ…日吉しつこい…)
内容だけ見て、返事しないで寝てしまおう。
そう思いながら受信メールを開いた。
『今すぐ来い。』
(もー…本当しつこい…)
想像通りの内容に苦笑した。
でも何で、そんなに会いたいのだろう?
(ん?これ…添付ファイル付いてる…何だろう?)
添付ファイルをクリックし、ダウンロードする。
どうやら画像のようだ。
少しずつ表示されていく写真に、目が醒めきった。
(嘘…何これ…)
背筋がぞくっと冷えた。
信じられない光景に、頭が真っ白になる。
(俺達がキスしてるとこ…)
表示された写真には、教室でキスしている長太郎と宍戸の姿が写っていた。
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