†鳳宍......................

□フォーリンラブはある日、急に。
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「あ、テニス部だ…」


入学式を終えて、さっそくできた友達と部活巡りをしている最中、校舎を出た所で向こうをテニス部員達が走り込んでいるのが見えた。
数十人が走りすぎる中、ぽつぽつと数人、肩にラインが入った見慣れないジャージを着ている人がいる。
その数人の中に、一際目立つ外見の人に目がいった。
サラサラの髪を後ろで一つに束ねている、顔立ちの綺麗な人。
服装や脚の筋肉を見れば男だとわかるけれど、顔だけを見れば女と間違ってしまいそうな程綺麗。
額から流れる汗さえも彼を引き立てるように輝いて見える。
彼が俺の目の前を走りすぎても、自然と後ろ姿を目で追っていた。


「鳳ーっ、どうしたー?」

「えっ、あ…!」


友達の声にふと気を取り戻すと、隣にいたはずの友達は数メートル先にいた。
慌てて友達の元まで駆けると、友達は呆れたように笑って、また歩き出した。
俺もその横を歩き、髪の長い彼が走り去った先を振り返るが、もう彼の姿はなかった。


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