◎タカラモノ

□霧雨璃亜さんからの頂き物
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【宴の準備】



「それで、次は……」
「こ、こうですの?」
「はい。慌てないで大丈夫です。ちゃんと、うまく出来てますから」
「ふーちゃん、これでいっかな?」
「えっと、はい。大丈夫です。上手ですよ」
「よかったぁ。あーちゃんみんなに料理つくってあげてるから、がんばるんだ」
「えぇ。薔薇さんから時々聞いてますよ。頑張るついでに、愛情もいっぱい入れましょうね。トリ子ちゃんはどうですか?」
「んー………どうでしょうー?」
「んー、そうですねぇ……もう少し混ぜててください」
「わかりましたですよぅ」
「ふー!私のはっ?」
「……はい、ポマトちゃんも大丈夫です。次は…そうですね、トリ子ちゃんのお手伝いしてあげてくれますか?」
「うん!」
「気をつけてくださいね」
「大丈夫だもん!」
テーブルに両肘をついて頬を支えながら、声が聞こえるキッチンを見る。
背が低いふーが、皆を教えてる後ろ姿はなぜか、誇らしくも微笑ましいものだった。
「ふー、なに作るんだ?」
声をかけてみれば振り向いて、にこりと笑っていたずらっぽく首を傾げる。
「内緒だよ。できたら呼ぶから、うーさんと散歩に行ってて。あ、あと、朝顔さんがお庭の手入れをしてるから、手伝ってあげて」
「へーい。じゃ、楽しみにしてるからなっ。彼岸花のねーちゃんも紫陽花もポマトも、怪我にだけは気をつけろよ!」
「トリ子は良いんですかー?」
「だってトリカブトのねーちゃん、怪我してもすぐ治りそうな気するし。じゃな」
鶉のうーちゃんを頭に乗せて家を出る。
皆の手料理…特に彼岸花のねーちゃんの手料理、楽しみだな。


「おやぁ、たいよう、手伝ってくれるのかい?」
「ふー達の料理が完成する時に散歩から帰ってくるの、難しいだろ?それに、うーちゃんに日光浴させたいしさ」
「たいようは優しいこだねぇ」
黄色の頭をわしわしと撫でると、照れたように避けようとする。
それを回り込んで撫でてやれば、諦めたように撫でさせてくれた。
まあ、薄々、嬉しいのが漏れだしてる分、まだまだ子供だけどねぇ。
「真面目に手伝ってくれたら、報酬300円だそうかねぇ…」
「ほんとかっ!?」
「ほんとほんと。草取りしてると腰痛めるし、たいようがいるとすごい楽だからね」
うーは地面に下りて小さな草を突いて食べているようだ。
「うーも手伝ってくれるのかい?助かるよ」
ぴぴっ
小さなうーの、小さな背中を撫でれば、嬉しそうな鳴き声を上げた。
うちの子達は、皆素直で一生懸命で、かわいいねぇ。

数十分庭の手入れをして、縁側で少し休憩していると数人の足音が近づいてきた。
「あれ、瓢箪?たんぽぽと桜と御辞儀草とねむの木と鈴蘭と昼顔のにーちゃんに薔薇と藤とアマリリスとラベンダーのねーちゃんとサフランさん。後は……えーと?」
「姫女苑とハルジオン、スズケとピクルス後は牡丹だね」
「後で仙人掌も来るって行ってたヨ!」
「あと椿ちゃんもご飯持ってくるってさ。椿ちゃんの料理はうまいぞー」
「ふくの料理をわしが食べぬでどうする!」
「ふーさんにお呼ばれしたので、来てやったんですわ」
「ねーちゃん相変わらず敬語が間違ってぇぇ!!!」
「全くハルジオンたら、言っちゃダメなことをすっかり忘れてしまって」
「だめよハルジオン君!!こんな時はしっかり腕を外して反撃しなくちゃ!!」
「朝顔はんに是非にと誘われたんよ。それにしても、賑やかやねぇ」
「そうですね。こんな人が集まるのは、珍しいんじゃないですか?」
「でも、こんな風にみんなで集まるのも楽しいですね。ムスカリさんも、来れたらよかったんですけど……」
「…………Zzz」
「あわわわ、ねむの木君、こんなとこで眠っても良いのかな、良いのかな??」
「ひょぇー、ねむの木さん、こんな騒がしいのに寝れるんですねぇ」
「ねむの木はいつでもどこでも寝てるんだよ。その度に異空間に行く前の僕が回収して……」
「良いかい?私は君が是非にと、半ば無理矢理に連れて来たからいるんだよ。だからと言って今日一日甘えるのは無しだと言ったのは変わらないんだ。なんでそれを取り違えるんだい?」
「いやほら、久々に会ったんですし……」
「子供から卒業すると言ったのは誰だったかな?」
「藤と薔薇………ラブラブ?」
「さあ、どうなんだろう」
「…………朝顔、僕全体の把握が出来てる気しねーんだけど」
「心配しないでいいさぁ。あっしもだよぅ」
わいわいと明るいみんなの声に呼ばれたのかふーがトコトコとやってくる。
「あ、皆さん。来てくれてありがとうございます。えーっと………昼顔さんとたんぽぽ君と桜さんと薔薇さんとたいよう君と瓢箪さん以外の男の人、それにアマリリスさんは裏の倉にお酒の樽が何個かあるはずなので持って来てください。桜君と薔薇さんと牡丹さんとたいよう君は皆が食べるのに手狭なので襖を外したりして部屋を広くして、皆が食べられるようにしてください。昼顔さんとたんぽぽ君と瓢箪さんは瓢箪さんの家に行ってお酒を持ってきてもらっても良いですか?きっと樽でも足りないと思いますから。後の人は台所に来て手伝ってください」
ペコッと頭を下げたふーに、みんなすぐ動き始める。
こういう時、ふーはすごく昔とは変わったなと感じる。
前は、すごくびくびくおどおどして、人見知りもすごくしていたから。
だから、きっと料亭を始めたことは良かったんだろう。
「たいよう?早くやるヨ!働いたらご飯が美味しくなるネ!!」
牡丹の声に頷いて働きながら、僕は内心のうれしさに顔を緩ませていた。


そのあとの宴会は、それはもう楽しいものだった。








まさかのオールスター!すごいです!
みんなで楽しそうでほのぼのしました(´∀`*)
ありがとうございます!


            
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