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□ろくな女じゃ13
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「…ち?…八…」





あれ、おかしい。何かさっきから人の声が遠く聞こえる。変だな、耳に何か詰まったんかな。でも、んん…なんか…腕を上げるのもしんどい。




「ち、は、…ち」




ああ?すっげー変な気分だ。目の前で雷蔵がぱたぱた振る掌に酔いそうになってる。いや?これは三郎?どっちでもいい、ちょっとそれ止めてくれ。う、下向いたら余計気持ち悪く。え、あれ、俺気持ち悪かったんだ?風邪?風邪なのか?




「は…!、…っ!」




何言ってるかさっぱり分かんねえよ三郎。あ、いや雷蔵?お前らこんな時にまで混乱させんなよなー。ちっとも見分けつかねえよ。ていうか目、目が閉じちまう。声、も、聞こえ、なく、




「…っ!…!!」




ああ、駄目だ。倒れたりなんかしちゃ駄目だって俺。今日は餌やり当番だし、孫兵とジュンコの餌探しに行く約束したし、それから、それから。




「!!…!…………」






ああ、静かで暗くてちょっと怖い。体の感覚がなく荒波にぐらぐらと揺さぶられてるみたいだ。気持ち悪い、気味悪い。死ぬ前ってのもこんな感じなんかな。あ、俺死ぬのかもしかして?ああそれは困るよ、神様、神様。俺、何か悪いことをしたんですか。


…悪い、こと…。











「八!!どこで変なモン食った!!」










あ、これは三郎。じゃなくて。




神様、神様。

俺は悪いことをしました。

謝るから許して下さい。

もうしないって約束します。

してきます。


してきます、から。







あの人、に。






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