楽園の扉
□幻想か現実か「後編」
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「場所変えようよ」と言われ女を追い掛けた、追いかける間何人も教団の人間にあったと言うのにあいつは誰も殺していなかった。
そしてついたのは森の中だった。
状況は至って俺が優勢だと思われたが、俺は何か違和感を感じた。
「さすが侍、ナイフ一本じゃキツいな」
「その割にてめえ、本気出してねえだろ」
「そりゃまあ、仲間の血で表の体を汚すわけにもいかないから」
確かに目の前の女の体は同じエクソシスト、だが気配から見てこの女は俺の知っている馬鹿女じゃない。
よくは分からないがこの女は多重人格で今目の前にいるのはあの馬鹿女のもう片方の人格らしい。
「頼むからさ、このまま逃がしてくんない?ここで争うのも無駄じゃん」
「てめえなめてんのか?行かせたらイノセンス破壊するだろ」
「しないよそんな事、表の方が悲しむだろ」
と、女は隠し持っていた自分のイノセンスを撫でる。
「そんなの関係ない。大人しく捕まれ、断れば此処で斬る」
「じゃあ刻盤置いてくから出てっても…」
「断わる」
「………」
女は黙ってナイフを弄り始めた。
「神田の鬼、悪魔…」
「……やっぱお前馬鹿だろ」
その時だけ俺は、今戦っている事を忘れてしまった。