□欲しいもの。
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昔から何でも手に入った。『欲しい。』といえば、何でも買ってくれる親だったからかもしれない。


‐‐でも、絶対に手に入れたいものができた‐‐


『欲しいもの。』


それは『向日岳人』


初めてあの人を見たのは
氷帝学園中等部に入学してテニス部の見学をしてる時だった。


赤い髪におかっぱ。
小さい体で軽やかに跳んでいた。
(なんだ…あいつ。)

跳ねている。尋常じゃないくらい。
(…ウサギみたいだ。)

遠くから見てるだけだった。


テニス部に入部してからもずっと見ていた。

『…。』
(仲良いんだな…。)
あの人のいつも側にいる。忍足という奴が羨ましかった。


あの人の側に行くには
『レギュラー』になるしかない。
(…下剋上だ。)


あの一目見たときから。
俺はあの人に恋をしたのだろう。
始めはなんにも思ってなかった。でも、思いとは別にあの人をずっと目で追っていた。


『…一目惚れ?』

初めてかもしれない
こんなに欲しいものが
あるのは、
こんなに自分から欲しがったのは、

あの人を
自分のものにしたくて
触りたくて
抱き締めたくて。



俺は下剋上を開始した。




あの人を手に入れる為に。(あの人の側にいていいのは俺だけだ。)




END.
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