パズル

□1.あなたは…誰
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高3の中間試験最終日。


残りの教科が古典のみとなり、半分の開放感と次の試験への不安が混ざる休み時間。


俺は友達と廊下で教科書とノート片手に山を張っていた。



「活用系ぜったい出るわ」

「じゃあ、相葉さん、コレは??」

「えぇ…と、」



天真爛漫という言葉がクラス一似合う相葉雅紀(通称:相葉ちゃん)はノートを凝視してその答えを探している。


「わかんねぇのかよ」


そんな相葉ちゃんに突っ込む二宮和也(通称:にの)は楽しそうにその姿を見ている。


「ちがっ、わかるよ!」
「どうだか、」
「ノート見んなって」


そんな二人を眺めながらにの側に立って相葉ちゃんに茶々を入れる俺は松本潤(松潤とみんなには呼ばれている)。



「ちょ、今最後の追い込み中だっ、…あ、松潤後ろ…」

「え…??」



相葉ちゃんに言われて後ろを振り返ろうとすると「潤っ!」と呼ばれたと同時に背中に衝撃を受けた。



「うわっ!!」



それと共にいつものあの甘い香りが鼻をくすぐった。




「出たよ、はるが」

「“出た”って何、その言い方」



はるは俺にしがみついたまま、にのに食ってかかった。



「はるは松潤大好きだから、」

「さすが相葉ちゃんはわかってる。にのはひがみでしょ」

「誰がひがむかよ」



柚木はるは高2の夏から付き合いはじめた俺の彼女。


にのとは中学が一緒で、“犬猿の仲”だと本人達は言っているけど俺はそんなことはないと思う。(言い合いは日常茶飯事だけど)


「まぁまぁまぁ、どうした、はる」


「潤、今日はバイト??一緒に帰れる??」



“帰れるよね??”というような嬉々とした表情で彼女は俺を見上げる。




「いや…今日は、バイト…」


俺の返事を聞くとはるはシュンとしてしがみついていた腕を離した。




「そっか、」


「そこまで落ち込む?!」
「単純…」


「うるさいなぁ、にのは!」

「相葉さんも言ってんじゃん…!」

「相葉ちゃんはいいのー」

「やった」

「意味わかんねぇ」



「まぁまぁ」と相葉ちゃんがにのを慰めはじめたので、俺ははるの頭に手を乗せて「ごめんな」と言った。


「いいよ、仕方ないから」

「うん、明日ならバイトないから、一緒に帰ろっか」



俺がそう聞くと彼女は俺が好きなクシャクシャの笑顔で「うん!」と頷いた。



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