OP
□この世のすべてに別れを告げよ
1ページ/2ページ
目の前が、霞んでいく。
大剣豪の名を手中にしてもう半年。鷹の目を倒したはずだった。この世界の誰よりも、俺は強い剣士のはずなのに。
なぜ俺はこんなにも、苦しいんだろう。
心のどこかで、俺は期待していたんだ。大剣豪になれば、世界一強くなれば、そうしたら。
俺の世界に変化があるんじゃないかって。
でも世界は何も変わらなくて。
相変わらずくいなはここにいないし、俺はくいなに会えないし、くいなの声は聞こえないし、俺の声はくいなまで届かないし、俺はまだここに存在したままだ。
だからかな。
こんなこと考えてるから、油断するんだ。