書物
□彼らは空へと、
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殺すのは、怖くない
殺されるのも、怖くない
独りで死ぬのは、怖い
「もしも、俺が」
ザンザスの元へ向かおうとするスクアーロの手を握ったら、暖かかった
銀色が目に映し出される
「殺されたらどうする?」
そしたら、俺は独り。
笑い飛ばされると思った
なのに、俯いて泣き出してしまった
王子、悪い事言った?
「ッ…俺も…死ぬ…」
「はぁ!?お前は死んじゃダメだよ!!」
寂しいって思っておきながらの傲慢な言葉
だけど、俺はスクアーロには生きていてほしい
「だって…好きだからぁ…」
ポツリとスクアーロが呟いた
ほんのり頬を染めて
可愛い…可愛すぎる
あー大好きだ
王子、カス鮫にゾッコンLoveなんだけど。
「じゃあ、さ」
ニンマリと絶大な笑顔を見せる
俯いてた顔を少し上げる
「死ぬ時は、一緒に死のうぜ」
静まる部屋
やっぱ引かれた?でもそんなこと言ったって、王子はお前を連れていくからな
さっきの言葉で《王子様はお前のこと好き》→《愛してる》に変わったもん
怖い。怖いけど、お前と行くなら怖くないよ
「…そうだなぁ…じゃあ、屋上から二人で手を繋いで堕ちようかぁ」
フッと微笑んだお前の顔に見とれてしまった
《その日、彼らは空へ飛びました》