HELP ME!

□HELP.1 リストカット
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いつからだろう。気が付けばいつも右手にカッターを持ち、自分の左手首を切っていた。
とめどなく流れる血を見て安堵する。
ああ…きっと俺が入院し出した時からかな。
心が空っぽになって無になっていた。ただ生きてる証拠が欲しかっただけだ。


「俺はもう狂ってしまったのかな」

『どうしたの、精市』


屋上の給水タンクの上に座っていると後ろから声が聞こえた。
俺の彼女の莉奈だ。
持っていたカッターを馴れた手つきでポケットに入れて隠した。


「別にどうもしてないよ」

『そう?ならいいけど…精市最近変だから、ちょっと心配で』

「大丈夫だよ。心配かけてごめんね」


優しく笑う莉奈に俺もつられて笑った。
こんな優しくて可愛い彼女がいて、俺は幸せだ。
でも…ナニカガタリナインダ。
心に開いた穴が埋まらない。

リストカットしてることを隠そうとは思わない。
でも莉奈には心配かけたくないから言わない。いや、言えないのかな。
嫌われたくないんだ。

でも今日も左手首にカッターを押し当て思い切り引き抜く。
そして流れる血に安堵して涙流す。

また俺は心の傷を隠し体の傷を増やす。
そして彼女にはこの事を隠し通して微笑むんだ。


「莉奈、大好きだよ」

『私も精市のこと大好きよ』



HELP ME!
(俺を助けて)
(でも君に嫌われたくなくて隠し通す)
(全部知ってるよ…)
(でもあなたが言ってくれるのを私は待っているからね)






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