HELP ME!

□HELP.4 オーバードーズ
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大量の薬が入ったケースを持ち、屋上を目指す。
普段屋上にいる仁王は今日は休みだ。
みんなは薬が入ったケースを怪しむことはない。
俺が笑って中身はガムだと言うと簡単にみんな信じる。
そんなもんだろぃ。


屋上に続く扉を開いて、ケースから薬を取り出して一気に口に運ぶ。
襲ってくる快感がたまらない。


最初は好奇心だった。
どんなもんだろうと思って、眠れない夜に睡眠薬を10錠一気に飲んだ。
それが何故かたまらなく気持ち良くて、いつの間にか止められなくなった。
徐々に飲む量が増えて行き、俺はオーバードーズの虜になった。


空になったケースを見つめる。
この量じゃまだ足りない…!


『あっれー?ブン太やっぱここにいた』

「…山下」


声がした方に振り向くと同じクラスの友達の山下が立っていた。
口調からすると俺を探していたみたいだ。


『ケース空になってんじゃん。また飲んだの?』

「止めらんねえよ。それに足りない…」

『じゃあ、はい。新しい薬。結構飲み応えあるから』


山下に差し出された真新しいケースを奪うように受け取り、俺は薬を飲もうとした。
でもそれを静かに山下に制された。


『今日はやめときなさい』

「何でだよぃ!?お前には関係ねえだろ!?」

『関係あるわよ。こっちはあんたに薬を提供してんだから』


山下の一言に言葉が詰まり、渋々山下に出された言葉を了承するしかなかった。


でもやっぱり…この快感からは抜け出せない!



HELP ME!
(俺を助けて!)
(本当は誰かに止めてほしいんだ)
(薬に溺れてくあなたを止めたい)
(でも好きだからこうしてまで近寄りたい)






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